まぁ、定期掲載は嬉しい。
そう思うことにしよう……
今回は所謂最格回であり時は陰陽トーナメントから遡る。
都内のある道場に玉拳さんこと里見は向かっていた。
「足音がしない」「物音を立てずに階段を上がろうとしているわけではない」
「もとからこの男の歩行には音がない」
ここで里見によくわからん個性が加えられる。
足音がない……精神体かな?
これは里見個人の癖みたいなものなのか、あるいは足音が出ないような歩法が玉拳なのか。
こんな設定が触れられた以上は後に回収されるだろうけど、正直闇討ちにしか使えなさそうな……
田島に対して悪いことをしたがっていたから、それ関係だろうか。
里見が道場で逢ったのは上杉だった。
里見の口ぶりからするとこの密会は里見の申し出によって作られたようだ。
「進道塾は逃げないからな」
「違うでしょ」「進道塾は逃げる」
「逃げないのは」
「上杉均という個人です」
この口ぶりからすると傲慢な里見だが、上杉のことを理解と評価しているようだ。
とにかく男気が話題になる上杉であったが里見が認めるほどであった。
逆に言えば男気しかネタがない。
煉獄は富田流が真似しすぎちゃって……
「始めようか」
「始めませんよ」
「逃げるのか?」
「逃げますよ」
夜の道場に武術家2人……勝負でしょう。
とはならずに里見は勝負を避ける。
この辺のテンポのいい断り方、見習いたいね。
「空くんの事…… 筋だけは通しておこうと思いまして」
進道塾の裏切り者、空君の筋を通そうとする里見だった。
え……? マジで?
この人、本当に玉拳さん?
わりとどうでもいいイベントだと思っていたら、一応意識するモノはあるようだ。
なお、この筋を通す相手として選ばれなかった山本海は泣けよ。
まぁ、あの人、雑魚だからね。
壁に当たったから別の道に逃げた。
だから、帰ってくると上杉は語る。
それは空君ではなく里見本人に投げかけた言葉だった。
壁とは山本陸に負けたことであることは容易に想像できる。
「打・投・極のすべてを学んだ上で」「己の資質にあった格闘技を選択」
「抽象的な表現で答えが複数存在する事になりますが」
「その選択の先こそが紛える事のない最強の格闘技」
里見は最強の格闘技の定義を語る。
それは一つの道を極めた先にあるものではなく、様々な格闘技を学んだ上で自分に資質に適した格闘技というのが里見の答えであった。
それは実に効率的な答えでありもっともではあるが、何事も効率だけでは語れないものである。
最強の格闘技は何かに答えているのは石橋に続いてこれで2人目となる。
意外と少ない。
そして、答えを出した以上、何か負け役に思えてくるような……
今2人がいる道場は後に閉めるらしい。
山本陸がいなくなった進道塾はすっかり求心力をなくしたのは触れられていた。
上杉が戻ってきた時は盛り上がっても、それは旧来の門下生が集まったに過ぎず右肩下がり継続のようだ。
「実はここ 私が初めて通った道場なんですよ」
「玉拳には道場がないので」「進道塾がここを出るならウチが入って」
「ここから始めようかな」
うわぁ、何て嫌みな……
また、上杉が床に座っているのに対し、里見はイスに座るか立ち上がるかをして話しているし見下す気満々だ。
やっぱり、この人、嫌み……あと小物っぽい……玉拳さん……
「昔は自分の強さだけを求めていた それが自分の流派を作り人に指導するなんて」
この挑発と思しき行為に対して、上杉は淡々と里見は変わったと言う。
まぁ、やたら指導したがっていますからな。
これは玉拳でやたらと強くなったからの自負心と傲慢からだと思っていた。
これは里見曰く兄弟子の遺言、「意拳とは違うのだから意拳の名を使うな」に従ったかららしい。
……別にお前の拳を広めろとは言っていない。
拡大解釈じゃなイカ?
その兄弟子は里見自身が殺したのだった。
里見もまた童貞を捨てた人間であった。
農具らしきモノが腹に刺さっているから、里見自身の拳というよりも状況を利用して殺したようだ。
とはいえ、里見には明確な殺意があったようで、多人数で襲いかかられたため、最低一人は見せしめに殺したのであった。
「今となっては後悔していますよ」
「殺してしまったあの瞬間の事はやむを得ないが」
「もっと前 遙か前に手加減などせずに実力の違いを見せておくべきだった」「次元の違いを早めに見せつけておけば嫉妬する対象ではないとわからせる事ができたのに」
「兄弟子の遺言で変わったのではなく 人を殺した後悔で変わったのかも知れませんね」
うわぁ、嫌な奴だなぁ(率直)
それでも里見なりの後悔は抱えていることには違いはないのだった。
しかし、手加減するとはたしかに変わったかもしれない。
山本陸には全力で挑んだわけだし……
あの敗北で世渡りを学んだのか?
人を殺したという告白に対して、上杉は特に感情を変えない。
普通なら何らかの反応を示す。例え格闘家でもそうだろう。
それを見て里見は上杉も人を殺したことがあるのかと問いかける。
かつて中学生の上杉は不良中の不良であると同時に空手を始めたてであった。
そんな時にヤクザにナイフを持って絡まれた時に、中高一本拳で人中に一発、トーキックでさらに人中に一発、トドメに倒れたところに踏み砕きで殺したのだった。
殺意しかないコンビネーションだ。事実、「本気で殴れる」と思っていたし。
そして、中学生かつ空手を始めたばかりなのに、人中狙いという高難度な技を体得しおって……
才能溢れる逸材だったようだ。
この殺人は正当防衛、つまりは事故として処理されることとなった。
が、空手の師匠には見透かされて破門になった。
その師匠はまさかの名護であった。
名護は櫻井と山本陸と川口拳治と佐川雅夫だけでなく上杉の師匠でもあった。
人物関係が大分複雑に絡み合っている。
そして、この中に絡めない十兵衛よ。
あいつ、主人公のくせに世界観が違うというか……
「始めたばかりの空手だったが生まれて初めて本気で熱中できたものだった クズの俺が空手は一生続けていけるものだと思っていた」「師匠に教えられた空手が自分にとって全てになっていた」
「何もなくなった俺を拾ってくれたのが――」
「山本陸先生だった」
空手を始めたばかりの上杉であったが、かけがえのないものとなっていた。
それを奪われるとなると人生を否定された感じになるかもしれない。
そんな上杉を山本陸は多くのものを失う覚悟で拾ったのだった。
上杉と山本陸が進道塾の初期メンバーであり、それ故に上杉は多大な恩義を感じているのだろう。
これが人格形成に影響しているのは疑いようがない。
これに対して里見は山本陸は元々独立する機会を伺っており、そんな中で逸材の上杉を引き入れるチャンスを得たから恩を売ったのではないかと反論する。
うわぁ、嫌な奴だなぁ……
スゴクシツレイを平気でやってのける。
理系脳はこれだから……(偏見)
それに対しても上杉は感情を乱さずヤクザを殺したのに報復がなかった理由を語り出す。
それは山本陸が手を回していたからだった。
これも都合がいいからと語る里見を制して上杉は真相を語る。
「俺が殺したヤクザは陸先生の弟だった」
この事実を話すと終始淡々としていた上杉の表情も変わる。
そして、里見も目を見開く。
これは山本陸から聞いたことではなく、後に偶然知ったことのようだ。
それはそれで事実を語らない方が恩を売れると思ったという計算がある可能性もなくもない。
だが、肉親を殺した男を助けるというのは相当だ。
里見も反論できずに黙るしかなかった。
「陸先生がいなくても進道塾は俺が命を懸けて守る」
「自分のために頑張るなんてのはすぐに限界が来る 自分のために自分の命を投げ出す事はできないからな」「だが守りたいものがあればその限界を超える事ができる俺にはそれがある」
「お前や田島にそれがあるのか?」「最強の条件を揃えているのは俺だ」
上杉の抱えていた仁義の源が語られた。
想像以上に重いものだった。
こんなに重いから仁義のためなら警察を殴って捕まるヤンデレになっちゃうんだよ……
そして、自分のために自分の命を投げ出すことはできないというのは真理ではある。
「胸襟を開いてご相談したい事があります」
もったいぶった言い回しで里見は本題に移る。
空君のこと、やっぱりどうでもいいんじゃねーか!
おまけ扱いじゃねーか!
その内容は後々に明らかになるのだろうか。
お互いの試合の時とか?
玉拳さん、プロレスに負けたら格好悪いぞ……
それにしても陰陽トーナメントは童貞を捨てている人間が多い。
里見と上杉は今回で確定。
工藤は育ててくれたヤクザを殺していそうだ。
梶原さんは……微妙。覚悟こそあるが具体的な描写が欠けている。
徳夫は疑惑だが父殺し。
櫻井は余裕で殺している。
徳夫は戦場で殺していないという方が嘘だ。コンビニ店員とかどうなったんでしょうね?
カブトは3人殺している。
ほぼ確定組だけで参加者の半数が殺人経験ありだ。
あと文さんも描写的に死んでいなければおかしい人が多すぎる。
マーダーライセンストーナメントかよカタカタカタ
主催の田島も殺人経験あるし人を殺せる人間ばかり集まっている。
一見陽側の徳夫も迷わず人を殺せる人間だし、その覚悟がなければ最強にはなれないのだろう。
十兵衛も殺せるしな!
やっぱりマーダーライセンストーナメントじゃねえかカタカタカタ