戦姫絶唱シンフォギアXV EPISODE03 Penny Dreadful



波乱の第2話からの第3話! ワクワクするゼ☆
パヴァリアの残党たちは用語集で哀しき過去が判明済みだ。
まぁ、だから可哀想、許してと言うわけではなく、あれだけの凶行に走る以上は相応のバックボーンがなければならないということでしょうな。
というわけで殺せ! 殺せ、防人! 殺して御国を守れ!





「崩れ落ちた骸に用はない」
「必要なのは先史文明期の遺産であるこの腕輪」
「我が国の成り立ちはヒトが神秘に満ちた時代からの独立に端を発している」
「終わらせるぜ、神代ッ!」
「叡智の輝きでヒトの未来を照らすのはアメリカの使命なのだッ!!」


オイオイオイ。死ぬわアイツ。
まずはアバンでは米国の研究設備が映し出される。
前回の締めに出てきていた米国の研究者、いきなり死ぬ気である。
こういうことを言い出した奴は死ぬんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。

聖骸の聖骸たる骸の部分にはまさかの価値なし。
いや、価値はあるんだろうし、そここそが真にヤバいんだろうけど注目する気一切なしなしナッシング。
そういうところやぞ。そういう神秘を舐めるところがあるから米国はコケるんやぞ……
ともあれ、大事なのは聖遺物たる腕輪というのがこの研究者の見解であり、その解析を進めようとするのだった。

プロローグに出てきたエンキも腕輪をしていた。
カストディアン一族にとって重要アイテムなのが窺える。
身分を示すくらいの役割かと思いきや重要アイテムのようだ。
それよりも君たちは消えた頭の角を気にかけて欲しい。
アクセサリーかも知れないけど明らかに人間とは異なる部位ですが……





「ステージに仕掛けられた爆発物の被害により死傷者、行方不明者数は既に7万人を越え、今後さらに増える見込み――」

さて、リディアンの学生寮。
未来は先日の惨劇のニュースを見ていた。
事実は歪曲され爆発物によるものとされている。 もっとも作為によるものだと報道はされており、テロが行われた事実の隠蔽まではされていない。

行方不明者は7万人。ライブにいた人数は10万人。
つまり、3万人は無事!
……というわけではなく、一人暮らしなどで身元の確認ができないのが3万人なのだろう。
また、アルカ・ノイズに分解されて死体さえ確認できない人間も多いのが確認を遅らせているのは確実だ。
エグい。あまりにもエグい数字だ。

そして、かつてライブによって友達の人生を図らずして狂わせてしまった未来の心中も穏やかではないだろう。
この惨劇は翼の心を大いに抉ったが未来の心も抉っているのは想像に難くない。
あの日の悲しみと後悔を極力思い起こさないようにしているのか、未来に表情はない。
それでもその心中には荒波が渦巻いていることはニュースの途中でTVの電源を切った行為が証明していた。





「わたしは全然へいき、へっちゃら」
「ホントだってば」
「また今度アパートの方にも顔を出すから心配しないで」


「おじさんとおばさんたち、結局まだ一緒に暮らしてないの?」

「時々一緒、大体別々って感じかな」
「何年もほったらかしにしてきたわだかまりは簡単にはなくならないし、お互い上手く伝えられない想いもあるみたいだし」


一方、響はおそらくは洸と話していた。
AXZではちっともまったくさっぱり触れられなかった立花家の家庭問題、きっかけは掴んだものの回復はしていないようだ。 その理由の全ては響が語っている。
正しいと信じて父と母の手を握ったが、それだけでは届かないモノがあることを知ったのだ。
そう、サンジェルマンとのすれ違いを経て……

そんなわけで立花家にまた一波乱ありそうだ。
ただ洸が逃げ出していないのは幸いと言うべきか。
響とも連絡を取っているし家族への想いはたしかにあるのだろう。
元に関係に戻ることはなくとも、あるいはそれはもう無理かもしれないが、一歩進んでいることは間違いなくGXの一見は無駄ではなかったのはたしかだ。



「うん……あるかもね、上手く伝えられない想いって」
「誰にでも……」


未来の表情は暗い。
未来は親友に伝えられない想いを抱えている。
親愛の情も、後悔の念も。
ライブの事件はその後悔を思い起こさせるものだったのだろう。

それでも――未来自身は複雑な想いを抱えている。
あの日、親友に血を吐くまで唄い続ける宿命を背負わせたのは自分ではないか?
どこまでも償いたい衝動と、そうする事できっと親友を困らせてしまうであろう想像。
胸の内を押し隠したままでは、いつか眩しい笑顔から目を逸らしかねない。
どうして人は、想いを伝えられないのか。
彼女の自問は、今日もまた繰り返される。





「マリアさんッ!」

「私はピンシャン」

さて、S.O.N.G.本部。
容体が不安な人物の一人、マリアはピンシャンしているようだ。
AXZ第3話以来のピンシャン。
所々で言葉遣いが独特なマリアさん。

そして、ごく当たり前のように何事もなく息を吸って吐くように自然に緒川さんの生存が確認された。
当たり前過ぎて誰も心配していねえ。
あまりにも自然に無事過ぎて気付くのに時間がかかった。
ギアを纏ったマリアでさえ怪我をしているのに生身でノーダメージで惨劇を潜り抜けた。 さすがとしか言えない。無言で笑わせてくるのは勘弁願いたい。




「翼さん……」

「脳波に乱れがあるものの身体機能に異常は見られません」
「ですが……」


「悪夢を越える現実にまるで意識が目覚めることを拒んでるみたいだ」

ピンシャンしているマリア、無事過ぎる緒川さんに対してメンタルが血涙した防人は寝込んでいた。
惨劇による精神的なダメージか、ミラアルクの不浄なる視線ステインドグランスの影響か。
何にせよかつてのトラウマを抉られた痛みは大きい。
思えばライブの惨劇の痛みから回復したのであって乗り越えたわけではない翼だった。

その点、マリアはトラウマを乗り越えた身だし惨劇に耐えるメンタルを持っているようだ。
Gのたやマっぷりから雑魚メンタルかと勘違いしがちだけど、あの頃は空回りしていたのが問題であって以降は安定している。
よぉーし、セレナを復活させてみようか!
並行世界を自由に行き来させてみよう!





「無理もないデス」
「だってあんな……」


鼻血フラッシュバック。
立ち直ったかに見えたマリアも表情は暗い。
痛みに耐えているだけであって痛みがないわけではないのだ。
それでも自暴自棄にならずピンシャンだと微笑む余裕だけでもあるのは自暴自棄になった過去があるからか。
世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ(笑)
ならば、私はドクターに賛同する(笑)
私は――私たちはフィーネ(笑)
この道を往くことを恐れはしない(笑)




「解体された結社残党の仕業、というには規模も被害も大きすぎないかな」

「何者かの手引き……例えば強力な支援組織の可能性も、あるいは」

ここでテロリストの前科がある調は残党の行動が大きすぎることに疑問を覚える。
衝撃的なデビューを重ねたと思ったら以降活動の範囲が一気に小さくなったのがF.I.S.である。
最終的にはフロンティア浮上で返り咲いた?わけだけど、一時期は米国に投降、自然消滅の可能性さえあった。
そうなったのは組織力の乏しさが多分に影響しており、残党という絞りかすでは同じくそうなるのが妥当だろうと言うのが調の推測だろう。

こうした捉え方をできるようになったのに調の成長が窺える。 G当時は覚悟を持って行動すれば何とかなる……程度のノリだったのが節々から感じ取れたが、結果としては散々だった。
こうした経験に加えてS.O.N.G.に所属してからはバックアップの頼もしさを覚えた。
大事を為すには自分一人はもちろん仲間の装者たちの力では足りず、支えてくれる銃後の支援、つまりは組織力が必要となることを知った。 力があってもできないことを知ったことで、力だけで大規模な活動をしようとする残党に違和感を覚えたのだ。
この辺はAXZ第9話の経験も大きそうですね。

ならば巨大組織の支援があれば大規模な活動ができるのではないか。
緒川さんは逆説的にそう推測する。
やっぱり、鎌倉のじっじですかね……





「アザマース♪」

「たしかに受け取ったであります」
「受領のサインは必要でありますか」


「いや、上からの指示はここまで」
「俺たちもすぐに戻らなければ」


というわけで支援組織発覚! 展開速ェな!?
匂わせたら即回収。
残り香が少ないアニメでございます。

そんなわけで残党には支援者がいた。
かつてはF.I.S.やキャロル組の支援者として蠢いた結社が今や支援を受ける側……
状況は変わるものである。それも劇的に。
しかし、受領のサインて。
そんな証拠を残すわけにはいかないだろうに。
エルザ、けっこう天然ですな。




「別に生まれた時からの怪物ってわけじゃないんだゼ」
「取って食ったりなんかするもんか」


「こんな身体でもわたくしめらは人間」
「過度に怯える必要――」


吸血鬼もどきに獣人もどきだから恐れているというより有史最大最悪のテロリストだから恐れていると思うんですけどね。
その辺の自覚はあまりないようだ。
逆に考えれば大虐殺をしたことをなるべく考えないようにしているのかも。
手前勝手な理屈ではあるがそうもしなければ10万人の命を奪った重みに常人は耐えられないのも道理。
その点、今までのラスボスの全員受け止めてあまりある器の大きさ、あるいは歪みがあった。
下っ端の器などこの程度だな!





「モロバレぇッ!?」
「逃げるべェッ!!」


! ?
そんな取引を見つめていた暴走族チームがいた。
獣並みの直感でエルザは気付いたのだった。
真っ昼間に埠頭のど真ん中で取引なんてすれば目撃者が出てくるわ!
せめて倉庫の中で行えばいいのに……
シンフォギアは練り込まれた設定や伏線を備える一方でこういうところは妙に雑なのがたまりませんね。





「不味いッ! 見られたかッ!!」
「早く連中を――」
「……行ったか」


「どうせ奴らは消耗品」
「尻拭いくらい役立ってもらおう」


その胸に懐く畏れは、ほどなく蔑みと失墜する。
最初は畏れていても目の前からいなくなれば消耗品と蔑まれた。
支援者にとって残党の扱いはその程度ということだ。 ラストエリクサーじゃなくハイポーションくらいだった。遠慮なく使われる。
同時に10万人の大虐殺を行える危険人物を消耗品と括れるほどには支援者の強大さ、凶悪さも窺える。 そして、これから起こるであろう大事件、カストディアンの襲来の規模の大きさも……





というわけで、今回の新ノイズ、セグウェイノイズが登場だ!
前回、その恐ろしさを再認識させたと思ったらまーた面白いことやったよ、こいつら!
こういうところがこういうことなんだゾ。

なお、エルザはアタッシュケースで疾走している。 あ、そういう使い方ができるんだ……
車椅子が80km出せるし、そりゃアタッシュケースで頭文字Dできますよ。
ギアもそうだけどみんないろいろなことに挑戦していて心強いですね。





暴走族のうちの2名は不運ハードラックダンスってしまう。
セグウェイノイズ、見た目は面白いけど機動力はバイクを凌駕する。
幹部たちが使役しなかったのが不思議なくらいには完成度が高い。
XVはモブに厳しい。可愛いモブも面白そうなモブも殺す。



さて、この暴走族、背中に野性と刻まれている。
野性……ワイルド……
お、渡り鳥かな?
次回の用語集で確実に長文で解説されることだろう。 金子のおっさんはこういう時に冴え渡るから手強い。





「急がないとッ!」

「既に現場には響君とクリス君を向かわせているッ!」

「二人共、頼んだわよッ!」

ほどなく残党の蠢きはS.O.N.G.も知る。
ここで動ける響とクリスが急行、きりしらは出撃していない。
残党は躊躇なく無差別に殺戮を行う超危険人物だと判明している。
なので、不測の事態に備えるために戦力を分散せざるを得ない。
勝つだけなら総力戦を仕掛ければいいのだが、ライブの惨劇が牽制となりそれを行えなくなっているのだろう。 ライブの惨劇はS.O.N.G.の立ち回りにも影響を与えている戦術級の牽制球でもあった。




必死の逃走を行う暴走族も不運ハードラックダンスる。
でも、仲間が殺られてからけっこう粘った。
バイクは防人が戦場でも使うことができるほどの機動力を誇る。 超常にも引けを取らない速さを持っているのだ。




そんな事故を見てミラアルクは指を使って口角を吊り上げて笑う。
笑うための手癖のようだ。
まぁ、今回は元から笑っているけど、無理矢理笑うことがあるのだろうか。
隙あらばエモ度を上げていく外道。




「お前らが仲間を……ッ!」

「気合いの入った運転技術でありました」

「だけど赤旗振らせてもらうゼ」

「嫌だぁッ!?」
「神様、天使様ぁッ!!」


追いつくのに時間がかかったしな。
しかし、レッドフラッグ(レースが続行不可能と判断された時に振られる旗だよ)。
暴走族は神様と天使様に祈るのだった。
神に祈るのは、こう、厄いデスよ……?
それにしても続くのが仏様じゃないのがセンスあるぅ。



「Killter Ichaival tron――……」

さて、シンフォギアのデザインのモチーフには天使がある。
というわけで、天使を乞われたので うたずきん シンフォギアの出番!
響とクリスが現場に急行するのであった。
一番暴走族と親和性がありそうなクリスがやってくるのであった。
バイクに乗ってる防人はほら、暴走族というより走り屋だから……




毎度クリスの可愛さが爆発するイチイバルの変身バンク開帳!
まずは懐かしの第1期風味の導入からG風の引きカメラで始まる。
この導入は全装者共通みたいデース。










おっぱいを魅せつつビットでちょっと錬金術っぽいゲートを展開。
この辺はラピスの影響がありそう。
いろいろな要素を盛り込むXVの変身バンクデスな。





やっぱり強調されるラピス仕様のコンバーター。
脇のパーツはイチイバルカラーの赤だ。
そして、ハンドガンはリボルバー! オートマチックじゃないだとォ!?
リボルバーの方がオートマチックより格好いいからな!
あとピストルズがオートマチックはリロードに時間がかかるって言ってた。














やりました。
ついにやったよ、おっぱいリロード……!
日本アニメ界が生み出したもっとも バカ 先進的なリロード方法、おっぱいリロード!
リボルバーにしたのはこのためか。
しかも、この時にスローモーションになるのが格好いい。
悔しい……でも、感じちゃう……!






そして、ポージングを決めていく。
今回のクリスはハンドガン押し。
AXZで押してた弓?
知らん!



「ばぁーんッ!!」

復ッ活ッ。
ばぁーん復活ッッ。
ばぁーん復活ッッ。
ばぁーん復活ッッ。
ばぁーん復活ッッ。
ばぁーん復活ッッ。
ばぁーん復活ッッ。

伝統と革新が合わさった最終作に相応しいバンクであった。
毎度のことながら熱量が半端ない変身バンクだけど、XVは今まで以上の熱を感じる。
ありがとう、みんなありがとう……




新曲「Take this! “All loaded”」と共に勃発!
まずはおっぱいの暖かさを込めたハンドガンで掃討する。
意外なことに今回のクリスは得意のガトリングを使わない。 市街戦だから流れ弾を気にしたのだろうか。
一度、フレンドリーファイアしそうになったことがあるからね……(GX第10話








フラッシュバックで射撃シーンを描きながら掃討。
か、格好いいクリ~。
XVは豪華なだけではなく新しい演出を組み込んでいるのがいいデスね。
歌と絵と金子彰史が合わさり最強に見える。





弾切れしたらリロード。
シリンダーをパージした後に、腰部パーツから新しいシリンダーを取り出す方法だ。
そういえば、Gの時も腰部パーツからマガジンを取り出していた。懐かしい。
………………
…………
……
テメー、おっぱいリロードはどうした!?



これには義憤に身を震わせた。
夏コミで見てろよ……






リロードの隙を狙ってエルザはネイルで襲いかかる。
……が、あっさりと回避される。
切歌には通じた不意打ちだったがクリスにはあっさりと対処された。 こういうちょっとした描写に装者と残党の力量差が感じられる。
エルザの実力自体、ヴァネッサやミラアルクよりも下だし(用語集エルザ)、そんなエルザが装者屈指の実力者であるクリス相手では分が悪いようだ。



さらに回避のついでにノイズさんも撃破。
一時期のセンス任せの雑な戦い方はどこへやら。
今のクリスはセンスを訓練と経験で磨き上げ、視野の広さと対応力を手に入れている。 ミサイルを撃たなければ強い。ミサイルを撃たなければ……






そんな中でノイズの不意打ち……は響が守護まもる。
そして、無言で微笑み合い、無言で背中を預け合う。
これぞ無印から戦線を共にしてきたパートナーの姿である。 かっけー……おっぱいリロードしてる場合じゃないな!

連携でノイズたちを撃破したきりしらとは違い、二人の今回の戦いは個人プレーが主体となっている。
一方でAXZ第4話で見せた誘いからのカウンターのように、絶妙なフォローによって隙を埋めている。
近距離型と遠距離型の両極端な組み合わせだからこそ、連携して攻めるのではなく連携して守る。
これが二人が辿り着いたベストアンサーなのだろう。




「――天使だッ!」
「ここは地獄で極楽だぁ……ッ!!」


で、シンフォギア伝統の面白いことを言うモブ。
……天使なんだ。
先述したようにデザインのモチーフには天使がある。
なので、ただの狂言ではなく今後何らかの意味を持つことがあるかも……ないかも……秋津洲かも……
そして、ちゃんと待ってから殺そうとする空気を読むノイズさん。




「そういうのいいからッ!」
「早く逃げてッ!!」


あ、普通に突っ込んだ! 響が普通に突っ込んだ!
何か珍しい光景である。
この辺、大分戦い慣れてきたのを感じさせる。
GXで大分揉まれたからか、AXZから戦闘における隙が大分減った印象だ。






「――邪魔はさせないゼッ!!」

相変わらずいい表情をしながらドロップキックをする。
わかりやすく力と体重を乗せた一撃はミラアルクの攻撃の中でも単純なパワーならトップクラス……
なのだが、パワー自慢の響は真っ向から受け止める。
それでも余裕とは行かない辺り、響とミラアルクの実力は拮抗しているようだ。






(正面切っての力比べ……ッ!?)
(こんな時……ッ!!)


さらに腕部をカイロプテラで強化して力比べ。
この選択に響は驚く。
響と真っ向からの力比べをした手合いはあまりいない。
というか、初めてだ。
真っ正面過ぎて意表を突かれたと言ったところか。
卑怯者なのに珍しい……





「わかるゼ、今イグナイトモジュールがあれば――って考えてるんだろ?」
「決戦機能を失って戦力ダウンしたと調べはついてるんだゼ?」


「く……ッ!」
「だからって負けるわけには……ッ!!」


が、ミラアルクの仕掛けはここからだった。
心理戦で響を揺さぶる!
卑怯……者……
そして、しっかりとイグナイトが使えなくなったことが漏れている。
傍目から見ればイグナイトの喪失はわからないはずなのに……
もしかして支援者はS.O.N.G.の内情に詳しい人間なのか?
イグナイトは初登場のリスクはどこへやら。
単純簡単に強化できる便利なパワーアップシステムになっていた。
なので、AXZでは安易に頼った。その結果、メタを張られて一本取られた。
それほど便利なだけに喪失はけっこうダメージのようで、痛いところを突かれた響は多少ではあるが揺さぶられてしまう。

もっとも、イグナイトがなくても同じく便利なパワーアップにユニゾンがある。 喪失は痛いが致命的ではない。
ただ先に揺さぶられたことで突かれた弱点にばかりに目が行って焦ってしまうか。
駆け引きとはそういうものである。
君、喧嘩稼業に出てみたら? 梶原ミラアルク名乗ってみたら?




そして、その動揺に不浄なる視線ステインドグランス
その効果は謎だが翼に使った時は大掛かりな虐殺をしていた。
それだけの価値があることは明白。
つまり、響ピンチ!






「な、何……ッ!?」
「今のは――」


「さすがに虚を衝かないと目眩まし程度か……ッ!」

だが、不浄なる視線ステインドグランス状態異常耐性をあらかじめ下げておかないと効果を発揮しないようだ。
なので、響の蹴りで間合いが離れて仕切り直しだ。
力勝負を挑んだかと思えば搦め手。
パワーで互角かと思いきやこうした攻め方をすることから真っ向から渡り合いたいわけではないようだ。 残党は今までの敵とは異なり強さが強調されていないのだ。




「エルザッ! ヴァネッサが戻るまでは無茶は禁物ッ!」
「アジトで落ち合うゼッ!!」


「ガンスッ!」
「ここはひとまず撤退でありますッ!」


ミラアルクでこれだから力量が劣るエルザはクリスに防戦一方だった。
うーん、弱い。
なので撤退を選択する。
この時、エルザの側頭部には謎の紋様が浮かび上がっている。 先ほどまではなかったがエルザのコンディションの悪化と共に顕在化している。
被験体が抱えている問題なのだろうか。





「エルザッ!?」

錬金術士との戦いでは例え事を優勢に進めてもテレポートジェムで逃げられてしまう。
S.O.N.G.としても何度も煮え湯を飲まされてきた経験からか、ついにテレポートジェムを撃ち落とした。 ほう経験が生きたな。
というか、それってありだったんだ……
逃亡の防ぎ方としては単純至極だけど、いざ実行するとなれば僅かなサイズを狙い撃つ必要があるから実行できる装者は限られる。
クリスは映画を見てテレポートジェム狙い撃ちのトレーニングしていたのかも。





で、ラリアットで道を塞いでカバー!
この程度ならミサイルで飛べば楽に乗り越えられるな!
もっとも、大回りすることになるだろうし、そうなれば逃がしてしまうかもしれない。
こうなると機動力不足に頭を悩ませるのがクリスだった。





「クリスちゃんッ!」

「道しるべに――Fire――」
ここで響とクリスが選んだアンサーはスカイラブハリケーン!
一気に飛び上がる。
個人プレー主体だけど手を合わせる場面では合わせる。
さすが夫婦歴が長いだけのことはある。




「全部乗せを、食らいやがれェッ!!」

そして、近接攻撃力に定評のある「RED HOT BLAZE」!
初登場のGでは不発!
GXでは突砂として殴った!
AXZではそもそも出番がねえ!
そんな曰く付きの必殺技が「RED HOT BLAZE」である。



「………………ッ!?」

しかし、跳躍から素早くロックオン、アタッシュケースに乗って逃亡するエルザに命中させる。
ついに「RED HOT BLAZE」がまともな運用がされた!
これには驚きが隠せない。
Gの不発から苦節6年、ついに報われたと言えよう。
しかも、破壊力が凄い。
そうか、まともに当てればかなり強力だったんだな……

でも、これだけの破壊力なら「RED HOT BLAZE」をエアキャリアにブチ込めば大惨事間違いなしだった。 いまいちな技かと思ったらなかなかどうして、心胆寒からしめてくれる。
F.I.S.のみんなはかろうじて命拾いしたと言えよう。
そんな技を躊躇せず使おうとしたなんて当時のクリスは本当に余裕がなかったんだな……



直撃したエルザはミンチになった……
というわけではなく、かろうじて回避には成功したようだ。
さすがは反応速度が強化されているだけのことはある。
しかし、アタッシュケースは引き換えにせざるを得なかったようで破損してしまう。
そして、そこに収めていた支援者から渡された物資を露わにしてしまうのだった。
決着といかずともS.O.N.G.は戦術的勝利は手にしたと言えよう。
搦め手が得意な残党だったがS.O.N.G.を完全に弄ぶまでには至っていないのだった。



「回収したアタッシュケースの解析完了」

「結果をモニターに回します」

「まさかの、ケチャップ?」

「この時期にバーベキューパーティーとは敵もさること引っ掻くものデスッ!」

そして、早速解析が行われる。
中身はもちろんだけどアタッシュケースそのものの解析も行って欲しいんデスけど。
自走機能が付いているアタッシュケースなんて面白すぎるワケダ。
あとたまにボケる調であった。



「あれは全血製剤」
「成分輸血が主流となった昨今あまりお目にかからなくなっている代物だ」


アタッシュケースに入っているものは全血製剤であった。
全血製剤とは言ってしまえば血そのものだ。
対する成分輸血は遠心分離機で赤血球や血小板などの血液の成分を取り出し、用途に応じてそれぞれを投与するものとなっている。
成分輸血が主流となっている理由としては少ない輸血量で済むため、患者の負担が少ないためである。
一方、全血製剤は大怪我で大量出血した時くらいに使うものとなっているため、あまり使われないのであった。
全血製剤を求めているということは残党は血そのものを欲していることになる。 吸血鬼もどきがいるから血液成分製剤じゃ満足しないのデスよ。




「それ以上に気になるのはその種類です」
「Rhソイル式」
「140万人に一人の稀血と判明しています」


「まさか、輸血を必要としているとでも言うの?」

とはいえ血液だけならありふれているわけだし、わざわざリスクを犯して外部の人間に提供してもらう必要はない。
あえて提供してもらったのはRhソイル式という稀血だったからだ。 なんじゃい、Rhソイル式って。聞いたことねえ。
ともあれ、140万人に一人なのでそのレア度は半端ない。
よく貴重な血と言われるAB型のRh-で1/2000なので桁が2桁も違う。
ここまで貴重ならある程度の力を持った組織でなければ提供できないものだろう。



「被害者からの聞き取り終わりました」
「埠頭にて彼女たちと黒ずくめの男二人を目撃し麻薬の取引現場だと思ったようです」


「つまり、パヴァリア光明結社の残党を支援している者がいるということか」

そして、暴走族の証言により支援者の存在がS.O.N.G.にとっても周知のものとなる。
あんなバレバレの取引していればね……
アザマースとか受領書とか言っていないでもうちょっと忍んでいれば……
忍者を見習え。ごめん、忍者は目立ちまくりだった。




「考えられるのはこれまで幾度となく干渉してきた米国政府……」

「先だっての反応兵器の発射以来、冷え切った両国の関係を改善するために進められてきた月遺跡の共同調査計画」
「疑い始めたらそれさえも隠れ蓑に思えてきてしまうわね」


まず疑われてしまうのが米国な辺り、この世界の米国の何たるかを物語っている。
実際問題、無印では広木防衛大臣を殺害している。下手すれば戦争ものだ。
Gではスカイタワーで一般人を殺害している。国際問題になる。
GXでは出番がないけどAXZでは反応兵器を撃ち込んでいる。戦争だよぉ!
うん……そりゃ疑うよ……やっていないって思わない方がおかしいよね……

気になる月の共同調査はロケットを作るまでには至っているようだった。
響が第1話で見た報道からおそらくは大体1ヶ月。スピード展開である。
あるいは概ね固まっていた調査計画にとりあえずの形で共同調査として便乗、形だけでも友好関係を結ぼうという腹づもりだったのか。
こりゃXV中に調査を行って痛い目に遭うな……




「米国、ロスアルモス研究所がパヴァリア光明結社の残党と思しき敵生体に襲撃されたとの報せですッ!!」

そんな中で米国のロスアルモス研究所がヴァネッサに襲われた。
あ、サボっていただけじゃないんだ……
でも、待て。
アンタ、その研究所に目当てをつけたのが1ヶ月前……襲ったのは今になって……
この空白の期間、何をしていんだよぉ!




「わたくしめの不始末であります……」
「あの時、死んでもケースを手放さなければ……」


「何言ってんだ」
「死んだら元も子もないんだゼ」


さて、おそらくは日本国内のどこか。
何らかの工業施設と思われるが大量の瓦礫があるのが気に掛かる。
ともあれ、そこが残党のアジトだった。
そこで瀕死のエルザを看病していた。
「RED HOT BLAZE」の威力は抜群だったようだ。
ザババコンビの連携を受けてもそこそこピンシャンしていたエルザをここまで弱らせるとは……
そして、死んでもと言わしめることからRhソイル式の全血製剤の重要性を物語る。




「ですが、血液を必要としているのはミラアルクだって同じことであります」

「戦わなければしばらく力も持つはずだ」
「ヴァネッサが戻るまでには何とかしてみせるゼ」


そして、残党には血液が必要だとわかる。
想い出を力としたキャロル組、生命を力とした幹部に対して、血液を力とする残党のようだ。
他のパワーソースと比べるとやや物理的というか何というか。
あまり効率が良くなさそうだし、それが実力に反映されているのだろうか。

さて、背景には「Fluid PANACEA」の文字がモニターに表示されている。
つまり、パナケイア流体である。
WAシリーズをプレイした人には言うまでもなくWA3に登場した用語である。
WAネタが少なめだったのでここに来て意味ありげに出てきた。
Rhソイル式の血液と合わせて残党の生命活動に必要なものなのだろう。
完全な生命と称されたキャロルや幹部たちと比べると生きるだけでも大変そうだ。



(ウチはどんな手を使ってでもエルザとヴァネッサを――)

バタンキューなエルザを見てミラアルクは決意と覚悟をする。
10万人を殺したのだからどこぞのアイドル大統領と違って言葉だけではないことは明確だ。
生きることさえ一苦労だから腹が据わっているということか。
どこぞのアイドル大統領とは覚悟のレベルが違う。
狼狽えるな(笑)
私はフィーネ(笑)
人質を解放する(笑)




「昨日の入電から丸一日、目立った動きはなさそうだが兄貴はどう見ている」

「ロスアラモス研究所は米国の先端技術の発信地点」
「同時に異端技術の研究拠点でもある」
「米国を一連の事件の黒幕と想像するには些か無理もありそうだ」


さて、ロスアラモス研究所の襲撃に関する調査を八紘は進めていた。
米国に直接聞いてみるに限るしそうなると外交担当の八紘の出番か。
結果、ロスアラモス研究所は米国にとっても重要地点であり、そうなると黒幕の線から外れることになった。
べ、米国は何も悪くないアルヨ。
あと開幕に調子に乗っていた研究者、くたばったんだろうな……





「米国の異端技術って……」

「ああ、断言はできないがロスアラモス研究所はかつてF.I.S.が所在したと目されているところだ」

ロスアラモス研究所がF.I.S.の拠点だった! やはり来たか、F.I.S.!
そして、ロスアラモス研究所=F.I.S.とF.I.S.装者たちは即至らないことから、自分たちがどこにいるのかを知らなかったことが窺える。
……マム、放棄した時にそれくらい教えてあげろよ。




なお、AXZ第5話で描かれたF.I.S.の外観と今回のロスアラモス研究所を比較。
完全に一致!
第1話でヴァネッサが見ていた研究所もここなのだろう。
……ん?
ロスアラモス研究所があるのはニューメキシコ州なのに何でヴァネッサはネバダナンバーの車に乗っていたんだ?


いや、別におかしくはないけど!
ネバダ州から頑張って運転してきたのだろうか。
あるいは身元がわかりにくくするための工作?



「かつての新エネルギー、原子力の他、エシュロンと言った先端技術もロスアラモスの研究で実現したと聞いている」

実際のロスアラモス研究所は原子力爆弾の開発を行っている。 原子力は原子力でも兵器としての原子力だが……ともあれ、先端技術の開発に違いない。
そして、出てきましたね、エシュロン。
陰謀論の必須アイテム!
陰謀論は好きかい? うん、大好きさ!

そして、シンフォギア世界では既に原子力は古いエネルギーであることが窺える。
かつての新エネルギー……もう別のエネルギーで代替しているようだ。
それを裏付けるようにGX第5話でオートスコアラーが襲ったエネルギープラントには原子力発電はなかった。
そんな中でOPに映し出されるチェルノブイリは非常に意味深だ。
残党が血を求めるのは造血能力の欠如、放射能による影響とも捉えられるし……
反応兵器の登場と共に大きな意味を持ってきたのだった。







「そんなところを襲ったってことはやっぱり何か大事な物を狙ったデスか?」

「伝えられている情報ではさしたる力もないと思われるいくつかの聖遺物」
「そして――」


「これって……やっぱそう来るのか」

「極冠にて回収された先史文明期の遺産、腕輪に刻まれた紋様を楔形文字に照らし合わせると『シェムハ』と解読できる箇所があるそうだ」

「シェムハ……シェムハの腕輪……」

オイオイオイ。死んでたわ、アイツ。
というわけで、開幕の研究員はビッグマウスも空しく重要アイテム、シェムハの腕輪をあっさりと奪われていた。
G以来の久し振りの完全聖遺物。
ヤントラサルヴァスパ? 奴は死んだよ。
おまけで他の聖遺物が奪われているのも厄い。
シェムハとはゴーレムに刻まれていたシェム・ハ・メフォラシュという言葉に由来するのだろうか。
ゴーレムと言えばイカついロボット系を想像するが、カストディアンが関わると話が変わってくる。
何せ人類はカストディアンが作った端末……ゴーレムと言えなくもない。 シェムハの腕輪はそのゴーレムに関わる聖遺物なのだろうか。
そして、端末ならジャミングがあれば十全に機能しなくなる。バラルの咒詛とか。
ならばバラルの咒詛から浄罪された未来さんはモロにシェムハの腕輪の影響を受ける……?
ついでにここ、切ちゃんが八紘に質問しているのが新鮮だ。
如何に切ちゃんと言えど聞きがたいと思うのデスが……
だが、八紘は親馬鹿である。
その片鱗を感じて親しみが湧いて質問したのかも。




「事件解決に向け引き続き米国政府には協力を要請していく」
「これが私の戦いだ」


「恩に着る、八紘兄貴」

外交活動で八紘は奮戦する。
それもまた八紘にしかできない戦いなのだった。
気難しいシンフォギア世界の米国からここまで情報を引き出しただけでも頑張っている。 さすがと言わざるをえない。
神殺しの情報を漏らすのも大変だったみたいデスからね……





「もう大丈夫なんですね、翼さんッ!」

さて、ここで安否が気遣われていた防人が復活。
意外と復活が早い。 支援組織がマッハで発覚したり相変わらずシンフォギアは展開が速いデスな。




「翼さん、とても大丈夫には見えなかったね……」

「復活の直後にあのどんでん返しはないデスよ……」

さて、きりしら。
防人復活直後に何かあったようだ。
ユニゾンした縁からか、調は翼を心配している。
実際、二人からすれば翼は弱味のないスーパー防人人なのだろう。 戦えば強い。冷静。リーダーシップもある。後輩たちを気遣う度量もある。あと切ちゃんは手も足も出せず惨敗している。
同じ先輩でも衝突したクリスと比べると実に安定している。
実にパーフェクトだ。パーフェクトだが……絶望に倒れた。
大きなショックを受けてもおかしくはない。



「心配をかけてすまない」
「だが、もう大丈夫だ」


へいき、へっちゃら!
もっと精神が危うくて防人語を頻用するかと思ったが意外と冷静そうだ。
まぁ、ミラアルクを前にした瞬間、防人語のラップを畳みかけそうだけどな……




「『大丈夫』とは何を指してのことであるか」

「お祖父様……」

ジジイ、スタンバっていたのかよぉ!?
ちょっとタイミングが良すぎて笑っちゃったよ。
通信を常に開いて今か今かと待ち侘びていたんだろうな……




「夷狄による国土蹂躙を許してしまった先の一件、忘れたとは言わせぬぞ翼ッ!」

「無論、忘れてはいません」
「あの惨劇は忘れてはならぬ光景であり私が背負うべき宿業そのもの」


そして、得意の子イジメを開始ぃ!
傷ごと抉っていくスタイル。
それでも翼は気丈に振る舞う。
無印の頃なら防人語の塊になっていたところだが、今は冷静さを失わず向かい合っている。
防人語を頻用しないということは精神的に余裕があるということ。
ギリギリもギリギリっぽいがまだ防人らない。へいきへっちゃら!






「真の防人たりえぬお前に全ての命を守ることなど夢のまた夢と覚えるがいいッ!」

「今の私では、守れない……?」

「歌で世界は守れないということだ」

「歌では、世界を……」

訃堂、歌を否定する!
シンフォギアを根底から覆すような発言だ。
それは歌に夢を抱いたからライブの惨劇が起きたと言いたそうでもある。 訃堂は翼を追い詰めていく。
追い詰めて……何を狙っているのか。



「お前にまだ防人の血が流れていることを期待しておるぞ」

そして、防人であることを強調していく。
訃堂にとって防人は血でなるモノという意識が感じられる。 それは風鳴の血に対する矜持と言った精神的なものなのか、それほど風鳴の血には何らかの因果が備わっているのか。
そして、司令の強さや翼の防人語を見るに風鳴の血には何かがあると思えてしまう。

でも、血を優先するとしっぺ返しが来るのが金子彰史作品である。 特にWA2なんて血は悲惨しか呼んでおらず、血の呪いから解き放たれるのが主題になっていた。
……防人の血、大丈夫かぁ?




「翼さん……」

「案ずるな、立花」
「可愛げのない剣が簡単に折れたりするものか」


折れてるがな! アンタ、ぽっきり逝ったがな!
久し振りに出たよ、折れているのに折れていないフリ。 そして、メンタルがヤバい時でも弱音は吐かないのが風鳴翼である。
それはきっと奏がそういう人間だったから自分もそうあろうとして弱音を吐かなくなったのだろう。
奏が存命していた時はライブに対する不安を素直に打ち明けていたのにな……




「暁選手、見事な着地で金メダルデースッ!」

大分二人で悩んでいたのだろう、すっかり夜になった。
ここで切ちゃん、場を和ませようとしたのか、ジャリガキムーブ。
愚者になることを躊躇わない。
防人になることを躊躇わない先輩とはエラい違いだ。




「未だに見えない、敵の正体……」

「それにしても血を欲しがるみたいなんて今度の相手はホントに吸血鬼みたいデス」

一方、調の表情は暗い。
毎度のことながら敵の目的が見えない。
それだけならいつも通りだが既に大事件を起こしている。
その上で目的がわからないのがストレスなのだろう。






「およよーッ!?」
「わかってしまったデスよッ!」
「常識的に考えて次に狙われるのは血がいっぱいあるところッ!」
「例えばッ! 献血センターとかッ!」
「ああいうおっきな病院に違いないデスッ!!」


「そんな単純なものじゃ……」

ここで常識的な思考!
非常に明確、明瞭。
わかりやすい解答である。
いや、それなら支援者を募らなくても……





「あぁーッ!?」

常識ィ!?
暁切歌の出した明確、明瞭にして安直、単純。
だが、時として常識は、非常識をMapputatsu!にする最適解の刃となりうる事も忘れてはならない。用語集「常識」
AXZ第10話以降、切ちゃんの武器、常識の意味合いがまた一つ変わった感がする。
昔は自虐ネタでボケそのものだったのに、今は立派な強みになりおって……
あとミラアルク。少しは忍べ。埠頭のど真ん中で堂々と取引するな。





「こちらでも確認できたわ」
「でも、危険よ」
「二人共先走らないで」


「そうも言ってられない状況なのデスッ!」

「現場に一番近いわたしたちに任せてくださいッ!」
「通信終わりッ! 突撃開始ッ!」


わりと可愛いナースを映しつつ二人は現場に急行、任せろまでと言い出す。
一昔前ならビッグマウスもいいところでやられる前振り……だったが、前回の大奮戦を見るに過信ではなく自信と見るべきか。
AXZでは分断されることがあったザババコンビだが、だからこそ、個々の能力や判断が鍛え上げられたのだろう。



(こっちもそろそろ限界かもだゼ……)

屋上にいたミラアルクはバッドコンディションだった。
つわりかな?
ダメージを受けたエルザならまだしも、ほぼノーダメージのミラアルクでも時間が経てばこれ。
残党は体調管理に難を抱えているのは明らかだ。
失敗作なのは戦闘能力やその能力以上に安定していないからか。 フィーネの「カ・ディンギルがいかに最強最大の兵器だとしても、 ただの一撃で終わってしまうのであれば兵器としては欠陥品」という言葉が思い起こされる。
そういう意味でフィーネがシンフォギアを玩具と愚弄したのも歌で戦闘力が左右されすぎて安定性がないからか。
……訃堂も同じ思考をしていそうだなぁ。





「待つのデスッ!」
「事と次第によっては荒事上等のあたしたちデスが」


「その前にあなたの所属と目的を聞かせてくださいッ!」

「そんな悠長、これっぽっちもないんだゼッ!!」

ノイズさん、こんにちは。
所属と目的をちゃんと聞くんだ……
ちゃんとマニュアルをこなしている。
こんなことを聞いたのは今回が初めてだけどな!
防人とかスゲェぞ。ネフシュタンクリスにいきなり蒼ノ一閃飛ばしたぞ。
もっとちゃんと話聞けよ。


「Various shul shagana tron――……」

1話で変身バンク2回! ノルマ消化に尽力している!
というわけで、毎回エロいと評判の調の変身バンクがはーじまるよー!





変身バンクのフルverではラピスが映し出される!
切歌とクリスの短縮版では出なかったので不安だったけど、無事に調も確認。
これで全員がラピスの恩恵を受けていると見ていいだろう。
そして、F.I.S.組も無印演出搭載!
もしF.I.S.が無印の変身バンクをやったらと思うとなかなかどうして。





あ、美少女だ。
イナバウアーしているけど美少女だ。
今回はローラースケート押し。





性異
愛常

ヨーヨーが身体を走って、その乳をジャンプ台に跳ねる……
いや、これもう天才的ですよ。
天才の演出ですよ。
こんなことやるからエロいとか言われるんだよ!






絶唱時のロボット形態を彷彿とさせる腕部ノコギリ。
今までの軌跡を彷彿とさせる演出が多めなのが最終作っぽくていいデスね。




そして、グルグル回る。超回る。メッチャ回る。
XVではフィギュアスケート味を体得したのだった。



そして、ヘッドギアのパーツを手動で降ろす!
ここ、地味だけどエモい……すこ……
職人芸でござるよ、佐之助殿……



で、調もシュルシャガナ仕様のコンバーター。
補助パーツはピンク色。




「きりっ」

ネテロ会長をやりつつ得意のきりっ。
革新を見せつつも伝統を押さえるのがXVの変身バンクの魅力。
そろそろ狩るか♠





そして、恒例の超速スピナー。
多分、前も言ったけど超速スピナーで好きなのは黒服が拳銃で脅していたシーン。



「よし」

すこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
調が……笑った!
澄ました顔で変身していた調がここで微笑む。
何より歴代変身バンクで調が笑ったのはこれが初めてだ。 それだけにこの微笑みの意味が重い。



そして、シュルシャガナ勃発!
調もまた素晴らしい仕上がりだった。
いや、XVの変身バンクはどれも歴代最高傑作と言ってもいい仕上がりデスよ。
そりゃyoutubeに公式動画がうpられますよ……





「キラキラの刃で半分このガベージ」

「未熟少女Buttagiri!」と共に勃発!
とりあえず、半分こ。
まさかの2話連続で楽曲を使った。
変身バンクと楽曲の消化ペースが早いXV。
ノルマ消化に注力して後半を自由に動こうという狙いがあるトカないトカ。





切ちゃんもノイズさんたちをなぎ払っていく。
セグウェイノイズ、いねえ。
……いないか。




調も高速移動しつつ裾を鋸にするΔ式・艶殺アクセルでなぎ払う。
この高速往復する動きは響に似ている。
参考にした?




切ちゃんも対抗して災輪・TぃN渦ぁBェルで一掃。
今更だけど回転大好きだな!
災輪・TぃN渦ぁBェル、わりと出番が多い。
技自体がシンプルかつわかりやすい強みがあるからか。
あと作画が楽そう。






ここで マムが遺した バナナノイズが襲いかかる。
(バナナノイズと武士ノイズは出る度に井上喜久子と水樹奈々がEDにクレジットされる。笑う)
押し潰すかと思いきやバナナの皮で滑るように高速移動! 尻尾の針で攻撃!
こ、こんな攻撃方法だったのか……!
初登場のGXだと何もしなかったからね……






「あなたの行動は護国何とか法に抵触する違法行為デスッ!」
「これ以上の抵抗は止めるのデスッ!!」


まぁ、縛って殺されるんだけどね。
XVではストリングを使った攻撃がシュルシャガナ。
そして、切ちゃん……格好いいこと言っているようで格好良くなってない……
護国何とか法はあかん……
ついでに護国災害派遣法、自衛隊を訃堂の自由な解釈の元に動かすための法であり、犯罪者に適用するような法ではないと思うのデスが……



「慣れない御託が耳に触るゼッ!!」

チクショウ! 突っ込まれた!
アルカ・ノイズの煙幕に紛れての不意打ちである。
相変わらず汚い。
汚いな、さすが吸血鬼汚い。







「得意の卑怯な手もこんなスピードじゃ捕えられないのデスッ!!」

だが、切ちゃん、まさかのかわしてからのカウンター!
ミラアルクが不調なのを差し引いても見事な一撃であった。
XVのザババコンビ、連携の冴え渡りは旧来のシリーズ通りだが個人技が大きく成長している。 何か格ゲーのヤケクソ調整を受けたかのような大躍進ですな……
カイがスーパースタンエッジを擦っていた時みたいな……




カイロプテラに包まりながら回転、間合いを離しながらお前ら、キャラランクはもっと低かっただろと言わんばかりの表情を見せる。
覚えておけ、最近はパッチでキャラランクがいくらでも変動する。
未熟だと侮られていたのがもはや過去……



「調ッ! ザババの刃を重ねるのデスッ!!」

「Ready Go――」
歌詞を重ねながら得意の連携技の態勢!
このReady Goは完璧かつCoolなタイミングだ。
Cool! Cool! Cool!
CoolがHotになっちまった……


というわけで、まずは鎌で土台を作ります。





次にツインテールのパーツを分離、ヨーヨーと合体させます。




そして、シュルシャガナとイガリマが合体! ザババスクランダー!
シンフォギア屈指の謎合体技、「TRINITY RESONANCE」のザババ版デース。
こう似たような技が出てくると装者間の繋がりが感じ取れ、大技のS2CAやG3FAののみならず戦術研究が盛んなことがわかる。






ポチッとな。
お互いの個人技をサポートし合った響とクリスに対し、連携で打倒しようとする切歌と調と異なるベクトルのチームプレイを見せている。
特にアームドギアの合体はザババの特権……あ、ユニゾンした時、みんなメッチャ合体してた。




明らかにヤバいザババスクランダー、ミラアルクはかろうじてかわす。
食らったら間違いなく爆発する一撃である。
相当に必死にかわしたので冷や汗を流している。
こりゃ前回のブチギレ防人に総毛立ったのも煽りじゃなく本音だな……



ヘッ、下種のアームドギアなど掠りもしないわっ。




が、ザババスクランダー、空中で弧を描く。
自動追尾機能付きであった。
想定外の動きにミラアルクの反応は遅れ迫り来る残党だけを殺すアームドギアに身動き一つ取れないのだった。





直撃! 爆発四散! ナムアミダブツ!
刃物でも直撃すると爆発するのがシンフォギア。
爆発したので両断されることもなく自由落下。
しかし、この絵だけ見ると爆発と共に脱出シーンにしか見えないのデース。



「やったの?」

「むしろ、やり過ぎてしまったのかもデス」

これで殺意が非常に高いのがザババコンビである。 ミカなんてシンフォギア界のマッスルドッキング、「禁殺邪輪 Zあ破刃エクLィプssSS」によってバラバラに引き裂かれている。
人形だからギリギリ絵になっていたけど、生身ならグロ画像一直線である。
ともあれ、きりしらはこれにて残党二人抜き。
強すぎてナーフが行われることを危惧するくらいの活躍である。
過剰なザババだったので切歌から常識を剥奪しました。
これで正常な常識力になると判断いたしました。
今後とも「戦姫絶唱シンフォギアXV」をよろしくお願いいたします。





「負けないゼ……負けられないゼ……」
「ウチは守る」
「二人を、家族をォォオオッ!!」


ミラアルクは息も絶え絶えだった。
完全に一本取られている。
また、エルザと同じく側頭部に謎の紋様が浮かび上がっている。 どうやらコンディションの悪化と共に浮かび上がるようだ。

そして、ミラアルクは家族への想いを叫ぶ。
これで虚を衝いて隙を突く……ことはしなかった。
非道外道なミラアルクにとっても家族の存在は利用できない部分であることがわかる。
会員制拷問倶楽部から結社の実験体という地獄から地獄の宅急便を食らった中で、同じ苦しみを背負った二人は家族と呼ぶに相応しい。
……まぁ、ヴァネッサはわりと結社側の人間だけどな!



「家族……?」

調はミラアルクの言葉に困惑する。
有史最大級のテロリストに意外な弱味があったことに驚いているのか。
この場に防人がいたらでも死ねの刑。
二人にとって家族は疑似的なものだが、だからこそ大切なものである。 自分と同じ境遇では……と思うと鈍るのも致し方なしか。
でも、防人がいたら蒼ノ一閃。






「家族だなんてちょっとくすぐったいけれど……悪くはないわね」
「ありがと」


ミラアルクの窮地についに サボり魔 ヴァネッサが勃発。
まずは脚部に仕込んだEMPで付近一帯の電力をマヒさせる。
錬金サイボーグだけあり初手より近代兵器である。
錬金要素ないけどな!



「照明がッ!? 何も見えないデスッ!」

「切ちゃんッ! 落ち着いてッ!!」

こうして突如生まれた暗闇に切歌は戦く。
3月11日の時の停電で実体験として学んだけど、町中と言えど街灯の全てが停止すると視認は困難になる。 切歌が慌てるのも無理からぬことである。






ブーストノヴァナックル!
ロボットの古典にして王道。
ロケットパンチが二人に炸裂した。
ワイヤー式なのがこだわりポイント。
ワイヤー式……いいよね……




「付近一帯のシステムをダウンさせました」
「早くしないと病院には命に関わる人も少なくないでしょうね」


「入院患者を人質に……ッ!」

「あいつは……ッ!」

そして、ヴァネッサもまた外道!
残党は戦力で装者たちに劣る。そこに関しては徹底して表現された。
だが、装者たちの弱味である人質を遠慮なく使う。 手強さ以上に厄介さを感じさせる手合いである。
こうして立ち回れば押していても決着に持ち込めそうにない。
あるいは多少の犠牲など知らぬと真の防人が誅を下すのか……?




「来てくれたのか、ヴァネッサ……ッ!」

「駆け付けたのはヴァネッサだけではありません」
「それにお目当ての物も騒動の隙に獲得済みであります」


おう、その姿勢で不動とか笑うから止めぇや。
ともあれ、Rhソイル式の全血製剤を確保。
上手く役割分担ができている。
しかし、よく140万人に一人の血液がこんな病院に普通にあったな……
運が良かったのは残党を早期発見できた装者なのか、それともRhソイル式全血製剤を早期発見できた残党なのか。




「うあああぁああぁああッ!」
「ヴァネッサ、エルザッ! ダイダロスエンドだゼッ!!」
「3人揃った今最大出力でッ!!」


瀕死だったミラアルクも士気を高める。
ダイダロスエンドだゼ!
ダイダロスエンドって何なんだゼ!
逆転できる状況を指しているのか、あるいは3人揃っての必殺技なのか……
よくわからないけどテンションの高さは伝わってくる。
金子のおっさんはいつもこう唐突なことを唐突に言うのでダイダロスエンドだゼ。




はうっ。カクーン。
しかし、燃料切れだったのでミラアルクはダウンする。
ダッサwコミュ抜けるわw



「それはまた次の機会に」
「消耗が激しいミラアルクちゃんとエルザちゃんに無理はさせられません」
「ここは退きましょう」
「お姉ちゃん判断です」


ヴァネッサはダメな人かと思ったが焦らずに事を進める。
まさに大物の風格である。
でも、小物界の大物な気はするけど。
キャラ紹介で「年長者としての使命感から、流れでリーダー役を買って出てしまった」「少々、残念である」と初手からダウン追い打ちを食らっているし……
いや、今のところ、サボっているくらいしかいまいちポイントはないけど……




「あなたたちは……ッ!」

「――誇り高き深紅ノーブルレッド
「きっとまたお目にかかりましょう」


出た、ノーブルレッド……!!
揶揄されている卑しき錆色とは真逆である。
誇り高いという気概があるのか。
もっとも、現状残党たちのやっていることは卑しき錆色そのものである。
人質取りまくっておいて誇り高いとかちょっと……無理……
あるいは精神的な矜持ではなく、実体として誇り高き深紅に至るのが残党の目的なのか。




「逃がすもんかデスッ!」

「――ダメッ!」
「切ちゃん、今は患者さんたちをッ!」


テレポートジェムによる撤退を妨害……しようにも患者という人質がいる。
最優先で救助活動をしなければいけない。
ヴァネッサはEMP一発で装者を封殺してみせた。 巧みかつ容赦のない手腕であった。



「デェェエエスッ!!」

目の前の勝利を逃した。
そればかりか人質という弱点を改めて突き付けられた形となる。 切歌は慟哭するしかなかった。デースだけど。
その気になれば勝てる楽な相手……と思いきや厄介極まりない手合いである。
こうなると訃堂……国防のためなら犠牲を厭わない訃堂流防人術が……




こうしてRhソイル式の全血製剤を手に入れたので早速注入する。
体調が回復したのか、穏やかな顔で睡眠している。
ダメージを負った時に出ていた側頭部の紋様も消えている。
とりあえず、Rhソイル式の全血製剤は生命活動の維持のために必要なのであった。



「ご所望のモノはこちらに」
「シェムハの腕輪でございます」


ヴァネッサは回収したシェムハの腕輪をSkype通話中のクライアントに見せる。
ここに至るまでの残党たちの行動はこれを手に入れるため……
ある意味では10万人の命と引き換えにしたと言える。
それほどの重大案件として扱っているのだろう。
その指示を出した人物は誰なのか。
いやー、さすがに容疑者候補の訃堂がいきなり出てくるわけが……



「そうだ」
「七度生まれ変わろうとも神州日本に報いるために必要な『神の力』だッ!」


ジジイィイイイッ!? いきなり身バレしてんじゃねえよ!!?
もうマッハ。
一切引っ張ることなくマッハで訃堂が黒幕だと判明した。 このスピード感がシンフォギア。
フィーネだって身バレまでもうちょっと粘ったよ……?
ウェル博士だって……あいつは2話の時点でバレてたな。

訃堂は七度生まれ変わったと言っている。
これは七生報国の比喩的な意味なのか、あるいは本当に7回生まれ変わっているのか。 後者なら……訃堂の正体はカストディアンということになる。
もっとも、神なら神の力を求めるのは神にそぐわない気はする。

そして、訃堂が外道と誹られる理由がわかった。
何せ国防のためなら10万人の生け贄を出すことも躊躇わない。
外道以外の何でもない。
そして、ここまで国防に注力するのなら……日本に決定的な危機が、10万人の悲劇が序の口に感じられるような絶望が訪れることを意味していることになる。
カストディアンの到来はもはや免れない未来のようだ。

同時に訃堂は翼を利用する計画を進めているように思える。
ライブの惨劇を起こしたのも翼を国防のための真の防人にするため……
防人の波乱は続きそうである。
しかも、かなりエグい波乱が……



無印からその存在が囁かれ、金子彰史が外道と誹った訃堂がついに動き出した。
でも、訃堂だけじゃなくカストディアンもヤバい。
カストディアンだけじゃなく未来さんもヤバい。
1話ごとに爆弾が投げ続けられている例年以上の怒濤の展開に頼もしさを覚えつつ次回へ続く。