とりあえず、異世界転生。
それが小説家になろうの基本。
というわけで、烈海王が異世界転生する!
一見するとギャグだがちゃんと真面目なのがバキらしいと言うか何と言うか。
そんな烈海王異世界転生だが企画書を読んだ板垣先生はかなり渋い顔をしている。 烈はバキシリーズでも稀少な死亡したメインキャラだ。
他に死亡したのは朱沢江珠くらいである。
それだけに烈の死の重みは相当なものだ。
……まぁ、烈の死が物語には特に影響を与えなかったので何で死んだの?というのが正直な気持ちなのですが。
戦っても美味しい。解説しても美味しい。
そんな烈が物語に絡めなくなったのは大きな損失と言えよう。
板垣先生もそろそろ意地を張るのを止めて蘇生させればいいのに……
でも、板垣先生としては一大決心には違いないわけで。
その烈が異世界転生するのはなかなか首を縦に振りにくいのだろう。
なので、烈異世界転生は非公認のまま開始! その結論はおかしいだろ!
何かかなり権利関係がアバウトなんですね……
そんなわけで烈異世界転生の本編開始!
まずは宇宙開闢から138億年とスケールの大きな話をする。
この辺のスケール感は本編らしいですね。
あと大ゴマと見開きを使いまくるのも本編らしい。 リスペクトするところがそこかよ!?
いや、かなりよく出来ているけどあまり褒められんぞ!?
その中で烈は目覚める。
その目に映ったのは大槌を振り下ろすオーク3匹だ。
異世界転生と同時にいきなり戦闘開始か!? と、思ったらオークたちは餅つきをしていたのだった。
そして、その餅を烈に渡すと実に友好的だ。
この異世界は人類と亜人は友好関係にあることが窺える。
オークに姫騎士が犯されることもないと思われる。
薄い本的にはマイナスか?
差し出された餅を食べながら烈は現状を推察する。
あ、食べるんだ……
推察する中で烈は失われたはずの右脚があることに気付く。
同時に腹部に走る激痛を思い出し、宮本武蔵との立ち合いの果てに殺されたことも思い出すのだった。
「やはりここは冥府なのか―――」
烈は一見すれば異様なれど平和な町を歩きながらも、ここが冥府なのではないかと戦慄する。
異世界に転生したことよりも自身の死に意識が向いている。
如何に烈海王と言えど自分の死は大きいらしい。
ある意味、自然と言えば自然な反応ですな。
その戸惑いの中で烈は背後から迫ってくる気配に対して崩拳を放ってしまう。
常在戦場の心構えを持つ烈だが気配に対して衝動的に拳を放っては傷害事件を起こしてしまう。
明確な殺気の類を感じなければこうした行為はしないだろうし、抱いた困惑の大きさが窺える。
幸運にもと言うべきか、拳は背後から迫ってきた男の眼前で止まる。
だが、風圧だけで大量の鼻血が出るのであった。 烈海王らしい凄まじい威力を持つ崩拳である。
いや、威力よりも技術かも。
男としては何気なく近付いたら崩拳で迎え撃たれた。
怒ってもおかしくはない。
が、押忍と叫ぶのであった。
ここから第2話となり烈の背後に迫った男の回想が始まる。
いや、アンタの回想かよ!?
こういったどこかスローテンポな展開が本編を彷彿とさせる。 でも、バキ道よりは展開は早いと思います。範馬刃牙の時くらいの速度ですな。
男、ナカムラシンジはかつては神心会の門下生であった。
自室の壁や天井に神心会のポスターを貼っているほどには熱心というか、信仰心が高い。
そのポスターには末堂、独歩、克巳、そして加藤の姿があった。
いや、何で加藤?
あいつはオフィシャルな戦績はなかったと思うのですが……
こっそり神心会の広告塔として使われたりしたのだろうか。
シンジが憧れる男は克巳だった。
シンジは義父と合わずに家出をした。
義父ということは養子なり両親が再婚したなりで家庭の事情がやや入り組んでいるようだ。
そんな中で養子でいながら華々しい活躍をする克巳に憧れ、神心会に入門したようだ。
だが、シンジは最大トーナメントで克巳が烈に敗北する姿を目の当たりにするのだった。
克巳に憧れていたシンジとしてはあまりにも悔しく、烈に恨みを抱いてもおかしくはない。
しかし、烈の凄まじい強さはシンジの
かといって克巳に失望したというわけでもなく、烈を師範として招いた克巳に感謝していたりとリスペクトは欠かしていないようだ。
しかし、シンジは烈に指示してもらう機会がなかったのだった。
拳による腕立て伏せ100回を余裕でこなせないくらいなので、シンジの強さはいまいちらしい。
となれば烈に目を掛けてもらうことも難しいのだろう。
克巳の側近の寺田くらいになれば消力の実験台くらいにはしてもらえるんですけどね。
その悶々とした日々の中でシンジはドイルを救うべく川を走る烈を見かける。
一目で烈が怪我人を助けようとしているとシンジは見切るのだった。
シンジは烈の強さだけでなく人格面にも信頼を置いているのですな。
烈の手助けになればと救急車を呼ぼうとして大急ぎで車道へ飛び出したところで王道のトラックに轢かれて異世界転生を果たすのだった。
烈がドイルを助けようと奔走したのは本編時間からすればけっこう昔だ。
なので、シンジの髪の毛もすっかり伸びていたのだった。
現世にいた頃は張洋王っぽかったので烈に勘違いしてもらえたかもしれないのに。 いや、烈は張洋王に失笑を隠さなかったから仲悪そうだし冷遇しそうだけど……
ともあれ、異世界における奇跡的出逢いを迎えシンジは落涙するのだった。
さて、3話目。
酒場で烈はシンジに異世界の説明を受ける。
異世界転生というよりも正確には異世界転移であること。
異世界転移した人間は迷い人と呼称されることを聞かさせる。
こうした呼び名があるということは異世界転移は比較的メジャーな事象らしい。 オークが烈を歓迎したのも異世界転移したことを察したからか。
その中で酒場に屈強な
リザードマンは特定危険幻獣のコカトリスを予約していた。
視線だけで人を殺しかねない
……この解説はシンジがしているのか?
異世界のことをしっかりと学んでいるのだった。
リザードマンはコカトリスをイビルアイを物ともせず膂力のみで八つ裂きにし、その猛毒の血を飲み干す。
外見通りに人間離れした強さを持つことが窺える。
それに対して烈はとりあえず飛び散ったコカトリスの血を舐める。
舐めるな。お前はシンジの説明をまったく聞いていないのか。
その味を麻辣味を例えるのであった。
全然毒が効いていない。シンジの説明は何だったのか。
リザードマンの肉体の強靱さはピクルに匹敵するのかもしれないと烈は読む。
バキ世界フィジカル最強のピクルに匹敵するとはリザードマンの戦力をかなり高めに見積もっている。
だが、今の烈は右脚が生えておりフルコンディション!
(フルコンディションでピクルと戦って負けたのは置いておく)
そんな怪物を相手に中国武術はどうやって戦うのか。
既に烈の精神は闘争へと向いているのであった。
その闘争への欲求に従って烈はリザードマンに喧嘩を売る。
リザードマンは別にそこまで悪いことはしていない。
コカトリスの血を店の主人や客にかけてしまったことくらいだ。
だが、少しでも気に入らない相手には喧嘩を売る蛮勇の持ち主が烈海王である。 気に入る気に入らないというか、戦いたいから喧嘩を売った感じですな。
烈海王異世界転生の最初の相手はリザードマンとなった。
その強さは力士に匹敵するかもしれない。初手より強敵だ。
そのうちガーゴイルとも戦って欲しいですね。
これでガーゴイルと戦わないと異世界転生した意味がない。
烈は死んだことで体面を気にしなくなったのか、再び蛮勇を奮うようになった。
その蛮勇が異世界にどこまで通用するのか。
異世界をクリアすれば蘇生に成功して本編に返り咲くことができるのか。 今後の展開に期待である。
とりあえず、ギャグ路線じゃなくシリアスにやっていくようなのでそこは安心ですね。
ギャグでお茶を濁すのが一番求めていない展開だったので……
次回へ続く。