殴れよ! そこは殴れ!
今の克巳は烈の右腕を使うことよりも烈的な動きをする方が大事なのかも。
烈は拳を使った技を用いるイメージがあまりないし、克巳も困った果ての蹴りだったりして……
というわけで、克巳は獅子丸の顔面に両脚でドロップキックを放つ。
ドロップキックかよ!?
それは中国拳法ではなく本部流柔術なのだが、実況は中国拳法の跳び蹴り判定を出した。
愚地克巳がやっているのだ。中国拳法以外の何でもない!……のかなぁ。
過去に両脚での蹴りを放った中国拳法家はいない。
烈はもちろん、海王たちもそうだ。
オーバーアクション過ぎて実戦性に欠けますからな。
いや、実戦派の中の実戦派、本部がジャックにぶちかましたから、意外にも実戦で使える技、なのかも……
「全体重乗っけた」「跳び蹴りだぜ…」
「立ってる」
克巳は全体重を乗せた跳び蹴りに耐えるのが大相撲力士だと烈に語りかける。
巨鯨のみならず力士全員のフィジカルが破格の極みなのだ。
……花山には現実的なフィジカルで挑んで砕かれたけど。
ともあれ、全体重を乗せた跳び蹴りに耐えたのは驚くに値する。
獅子丸のフィジカルはジャックに匹敵するのだ!
何故ならジャックも本部のドロップキックを受けてダウンしなかったから!
本部は置いておくにしても、克巳の全力の蹴りを受けても倒れなかったのは獅子丸の肉体の強さを物語っている。
ダウンしなかった獅子丸だが大量の鼻血を流している。
ハッキリとしたダメージが残っているようだ。
ある意味ではマッハ蹴り以上にダメージがデカい。
マッハシリーズは一撃の威力こそ尋常ではないものの、そのダメージが持続しないのかも。 事実、ピクルは真マッハ突きに倒れれど早期にダメージが回復している。
マッハの攻撃力に耐えうるタフネスがあれば、一度耐えきれば対処できるものの可能性がある。ある気がする。
それならマッハ蹴りに耐えたのも納得! ……できるのかぁ?
「最後の「全力」だ」
「これが結ばんなら」「アンタの勝ちだ」
「出し切る」
追い詰められた獅子丸は次が最後の全力と予告する。
獅子丸は全力の攻防を既に数回に渡って行っている。
相撲ではありえない長期戦だ。
それ故に次で弾切れになることを予感していたのだった。
本来は数十年かけて消費するスモウパワーをこの1戦で使い切りそうとかそういうわけではないようだ。
いや、力士の異常な強さはスモウパワーみたいな未知の燃料がなければ納得いかない感がありますが。
ともあれ、最後の攻防を覚悟する獅子丸の姿はちょっと格好いい。
これでちゃんと掘り下げていたら盛り上がったのですが。
暗黒闇相撲相撲死刑囚みたいな裏設定ありませんか?
ミオスタチン関連筋肉肥大とかでもよいぞ。
「烈さん」「大相撲堪能できるぜ」
ここで克巳は両腕を掲げた構えに、空手の構えに戻った。
最後の衝突は借り物の中国拳法ではなく本家の空手だ!
まずは突進する獅子丸をピクル戦で見せた五連突きで迎撃する。
ついに右腕を使った!
やっと烈の腕を使うことへ躊躇がなくなったようだ。
でも、烈の腕でやることが空手なんですね。
ピクルの突進を止めるほどの威力を持つ五連突きを受けて獅子丸の足が止まる。
だが、直撃した上で突っ張りの連打で反撃する。
粗いが速い闘争本能剥き出しの連打であった。
五連突きを受けてから即反撃したのはピクルも同じだ。
つまり、獅子丸のフィジカルはピクルと並ぶ……?
スモウパワーにはまいったな!
突っ張りの連打に対して、克巳は再び五連突きで迎え撃つ。
全力の獅子丸に対して全力の必殺技を二連続で放った。
これには手応えを感じたのか、克巳は一息つく。
だが、その弛緩した瞬間を獅子丸に肩を捕まれてしまう。 ここで克巳の油断癖が炸裂した!
序盤も油断癖でペースを握られている。
そこからあまり学んでいませんね。
勝利への渇望よりも烈と共闘できる喜びが勝ってしまったのかも。 やってることは烈味が混ざっても根は克巳なのだ。
烈ならわりと大人げなく殺しに行く。
肩を掴まれたくらいなら克巳ならどうとでもできると思われるが、相手は(何故か)ピクル級のフィジカルを持つ化け物。
力任せに克巳を組み伏せる。
とんでもないパワーだ。いや、技か?
ともあれ、力士である獅子丸が一番やりたかった展開にやっと持ち込めたのだった。
組み伏せた後に獅子丸は頭突きを放つ。
地面とサンドイッチの形となって喰らって大ダメージだ。
奇しくも父親と同じ目に遭っている。
頭突きは空手家共通の弱点だったりするのか?
獅子丸は持続力がないとはいえ克巳を超越するフィジカルを発揮できる。
短時間ならピクルと渡り合える可能性がある、気がする。
それはそれで大変嫌だけど、実績から見れば十分ある。
……これで相手が宿禰ならまだ納得できるんですけどね。
獅子丸は宿禰が力士に化けている姿だったりしたら急展開だ。
そんな獅子丸が得意とする力の勝負になって大ピンチだ。
烈が再び助けに来るのか。
それとも克巳自身の力で何とかするのか。
これで負けたら腕切断の罰ゲームが課せられかねないから逆転は義務だ。
これで克巳の髪が長かったら烈が得意とする髪を用いた小技で逆転できるんですけどね。
いや、ここから急に髪が伸びてみるか?
呪いの人形みたいな感じで……
次回へ続く。