バキ道感想 第92話「刃牙VS炎 決着」



我らが主人公、範馬刃牙が勝利したぞ!
主人公ということで今回はリプレイでねっとりと勇姿を眺める段取りです。
わかる。ゲームのリプレイ機能とかつい見ちゃうからね。
なので宿禰の出番はない。


というわけで、炎のパンチが放たれたところから振り返る。
炎のパンチは刃牙の鼻にめり込む。
だが、そこからヘッドスリップで弾滑り。
さらにかわしながら手の平の根元、手根でアゴを打ち抜いて炎は気絶するのだった。
張り手じゃなかったんですね。

高度な攻撃と防御が一体化した極めて高度な技術で高度にKOした。
打撃は刃牙の十八番の中の十八番だけあり、ただブン殴るだけの炎とは桁が1桁どころか2桁も3桁も違う。
さすが範馬刃牙さんですわ。そこにシビれる憧れる。
最初からそうしろって感じはあるんですけどね。
刃牙さんは第1ラウンドは遊ぶからな。

というわけで、刃牙の打撃と回避がリプレイされた。
Jr.も似たようなことを何度もやったのに、特にリプレイされることがなかったのにな。
これが主人公とライバルの差であろうか。
リプレイするなら範海王の顔面を切り裂いた時のパンチはリプレイして欲しかった。
あれはパンチなのか手刀なのか、未だに謎である。

「勝負ありッッ」

炎が気を失うことで第二の人格が覚醒。
ファイヤー炎になって蘇るなんてこともなく普通に決着した。
刃牙が幾度か油断して、その隙を上手く突いたには突いたが、根本的なスペックの差は如何ともし難い。
ザクでユニコーンガンダムに挑むような戦いだった。
ザクの中では性能が良くて油断に付け込んでザクバズーカを当てても、いざサイコフレームが発光すればどうしようもない。

打たれる覚悟の力士は倒れないと実況は語る。
何かいつの間にか力士のキャッチフレーズになっている。
炎もその覚悟で殴り合いに望んだのだろうが、一発で倒れてしまった。
既に花山が覚悟を決めた鯱鉾を倒しているから今更感はあるんですけどね。

「力士の集中力は」「10秒から1分程度だぜ」

まずは渋川先生がその覚悟、集中力について語る。
力士の強みは10秒の密度だったはずが、何か10秒しか持続できないみたいな言い方をしやがる。
ここまでの描写だと瞬発力は地下闘技場戦士に匹敵するけど、持続しないので攻めが途切れ途切れになりやすく、結局最大値でも負ける印象だった。
あと相撲ルールに縛られたり、相撲以外の立ち回りをすると弱味を見せたりする。
弱点ばっかりじゃねえか、相撲!
いや、その弱点を踏まえた上での強さを見せてくれるかと思いきや、弱点がとにかく目立ってますね……
一時的なものとはいえ地下闘技場戦士と渡り合えるのはスゴいことには違いないのだけど。

「全神経が攻撃に偏ったその瞬間を衝く」

「天才の仕事だわ」


刃牙は炎の意識の全てが攻撃に割かれた瞬間を打ち抜いたと独歩は語り、渋川先生は天才だと賛同する。
お手本にして完璧なカウンターだった。
このカウンターを狙って行えるのが刃牙の強さであろうか。
でも、刃牙さんなら覚悟を固めた力士と殴り合っても勝てたと思う。
相手の得意分野で勝つのが刃牙の勝ち方だけど、今回はどうなのだろうか。
ちょっと不甲斐ないところが多かったから、勝とうと思えば楽勝だったんだとアピールしたかったのか?
なお、ここで刃牙の数少ない友人、花山はノーコメント。
本当に何のために観客席まで来たのか。

炎は担架で運ばれる段階になって覚醒、立ち上がって刃牙のところへと歩いて行く。
負けはしたもののダメージはほとんどない。出血もなければ歯も折れていない。
巨凶範馬と戦った相手らしからぬダメージの軽さである。
今回、特筆すべきはここかもしれない。

ここまでの力士は目が潰されたり、耳を削がれたり、歯が折れたり、金玉潰されたりと悲惨なダメージを負っている。
その中で刃牙は不思議なくらいダメージを抑えている。
出血なし、目潰しなし、骨折なし、歯折りなし、金的なし。
血生臭さを感じさせない実に綺麗な勝ち方だ。
若い頃は血を出させて歯を折り骨も折るし金玉も潰したんですけどね。
最大トーナメントの時は対戦相手の全てにこれらのどれかは与えている。 一番軽いのは出血だけで済んだ猪狩ですね。

そんなこともあってか、炎も刃牙には恨みはないようで爽やかに握手する。
不甲斐ないところは目立ったが、遺恨を残さない勝ち方はできたようだ。
でも、炎としてはナメプされたようでそこはイラつかないのだろうか。
いや、目を潰されたり耳を削がれたりするよりはずっとマシか?

「相撲取りのくせに…」
「グーパンチ」
「そっちの土俵に上がっちまった」


炎は敗因を語る。
いや、本当に何で刃牙の土俵に上がったのか。 刃牙の飛び廻し蹴りをかわして投げたように、相撲ではなくとも炎らしい戦い方はあったはずなのに。
超スピードに圧倒されて迷走してしまったのだろうか。
でも、結果としては自分の弱いところを突かれて負けたというよりも、刃牙の強い部分を押し付けられて負けたので、そうした観点としては良かったのかも。

刃牙は相撲取り炎の面子を潰すような勝ち方をしなかった。
相撲でも勝とうと思えば勝てただろうが、炎の名誉を考えてそれは止めておいたのかも。
肉体的にも精神的にも不要なダメージを与えない。
そうした刃牙の心遣いに炎はリスペクトしたのかもしれない。
これが飛天御剣流でござるよ、左之助殿。

「………」「開始はじまってすぐ……」
敏捷はやさで遅れを取った」
「初めての事態ことだ」
「最後の最後まで」
「貴方はデカくて怖かった……」


刃牙は炎を讃えながら立ち去る。
最初の「………」から無理矢理引き出した感をちょっと感じるが、刃牙は刃牙なりに炎に脅威を感じていた。
……いや、ホントか?
こいつの考えていることはよくわからん。
とりあえず、アクビ混じりに対戦相手を叩き潰していた頃よりは大人になったようだ。
武蔵が復活してから本部に鼻っ柱を折られたり、烈を殺されたりと、いろいろ自分を見つめ直した結果、今の主義に至ったのかも。

チャンピオンに讃えられ炎は満面の笑みを浮かべる。
刃牙の言葉をそのまま受けたのか、あるいは心遣いが嬉しかったのか。
真相はわからないが、炎としては満足の一戦だったようだ。

遺恨が一切残らなかった試合になったのは、最大トーナメントで優勝してからの刃牙としては珍しい。
刃牙が勝つことは既定路線ではあるが、ここまで大人しく勝ったのは意外だった。
差を叩き付けて強さを示しながらも、相手を立てようとはしている。
死刑囚編以降のとにかく性格の悪い刃牙とは一線を画している。 いや、範馬刃牙時代はそこまで性格悪くはなかったんですけどね。
バキの頃は性格の悪さが異常であったとも言える。
梢江か? 梢江のせいか?

刃牙は範馬の血に完全に目覚めながらも、対戦相手を破壊する勇次郎とは別の道を歩んでいる。
(最近の勇次郎はけっこう安全になったけど)
これが刃牙のバキ道なのか? 今の刃牙は仙人の心境に至っている気がする。
……やる気がどうにも感じられないのはそのためか?

ともあれ、刃牙VS炎終了!
次は宿禰VS横綱零鵬だ。
古代相撲を継承する者と現代相撲の極致の激突である。 これは盛り上がる!
……盛り上がるといいのですが。

古代と現代の激突となればその意味が大きいのだが、悲しいかな。
バキ世界では古きものを尊ぶ傾向にあり、古代と現代が戦えば大抵現代が負ける。
ジャックも現代側に立ったら古代側の本部に負けてしまった。 古代は全パラメーターに強力なバフ効果があるのだ。
花山だって侠客立ちの長く深い歴史があるから強い。

なので、宿禰は勝ち負けよりもバキ道のテーマの一つである何でもあり古代相撲について掘り起こして欲しいところだ。
宿禰がやっていることは皮膚の上から骨を掴んでばかりですからね。
相撲と言うよりも馬鹿力じゃねえか、それ!
なので、古代相撲のテクニックを見せてもらいたい。
頑張れ、宿禰。ここからはお前の出番だ。
だが、来週はミーティングや振り返りが行われて試合開始は良くて再来週。再々来週の可能性も十分にある。
最近のバキはここからが長い!
次回へ続く。