バキ道感想 第95話「近代相撲と古代相撲」



古代と近代の相撲対決が始まる!
基本的には古代が尊ばれるのがバキ世界だけに横綱、既に不利だ。
現代の不利を覆せるのは範馬一族くらいである。
……零鵬、範馬の血を持っているとかそんなオチはありませんかね?


宿禰は高く掲げた脚を降ろし、四股を踏む。
この四股で闘技場が揺れる。 かつて勇次郎は拳で地震を止め、大擂台賽では同じ闘技場を揺らしている。
つまり、宿禰のパワーは勇次郎に匹敵する!……のか?

破れた大相撲力士たち5人も観客席の最上段でこの四股を見ていた。
ついに力士たちが観戦した! ここまでの試合も観戦してコメントをしてくだされば、もうちょっと弄りやすいんですけどね。
試合以外に出番がなさすぎて弄りにくい。

「スゴいな」
「長く相撲を見てきたが」「こんな四股……」
「つーかコレ」「四股か?」


独歩と戦った猛剣は宿禰の異形の四股に驚きながらも、その凄まじさを感じるのだった。
ベテランの猛剣としても見たことがない四股である。
とりあえず、力士サイドの解説役は猛剣が務めるらしい。
それに対抗するように地下闘技場戦士たちも観客席最上段にみんなで陣取っている。
これは驚愕&解説対決が行われるぞ!
でも、地下闘技場戦士サイドはあまりいいリアクションする人がいないんですよね。
歴戦の勇姿である刃牙もこと驚き役の世界では、どちらかと言えば添え物としての印象が強い。
本部か烈がいれば盛り上がったのですが。

宿禰はもう一度四股を踏む。
地下闘技場の砂に埋まった爪と歯が浮き上がる。
この四股で血流が高まったのか、何故か今回の宿禰にはトーンが貼られている。
赤みがかっているかガングロになった表現ですね。
これまでの宿禰の身体にはトーンが貼られていないから、今回で急に肌の色が変わったことになる。 いやいや、一体何があったんだ?

体色が変わったということは今の宿禰は新たな段階に入ったのかもしれない。 ここまでの宿禰は所詮は第1形態。スライムに対するスライムベスだ。
刃牙の蹴りで喪心するくらいの力だが今は違う!……のかも。
いや、ホント、これ、何なんですかね?
思わず笑ってしまったよ。
笑いの取り方はそれでいいのか、宿禰。

宿禰はライバルキャラとしては異例の出番のなさに加えて突然肌の色が変わるという個性を手に入れた。
これまでにない個性ではあるが欲しい個性なのかは微妙なところだ。
もっとも、ただでさえ出番が少ないから、これくらいのドーピングはあった方がいいのかもしれない。
試合が進んだら是非この変化を説明していただきたいところだ。

「宿禰
「何でもやってこいッッ」


零鵬は宿禰の流儀が古代相撲と知った上で受け止める覚悟だ。
横綱だけあり他流儀にも横綱相撲を敢行する気である。
岩波混沌カオスの打撃もモロに受けていたし、それが横綱の流儀だろうか。
ええい! それよりも体色が変わったことに突っ込めや!
目の前にいる人間の体色が突然変化すれば驚くか心配するわ!
横綱の度量の大きさを示す描写、なのか……?

宿禰は古代相撲の後継者……なのだが、相撲の延長線上にある技しか使っていない。
皮膚越しに骨を掴んでいるくらいだし、それは古代相撲ならではの技というよりも宿禰個人のフィジカルだ。
なので、宿禰には今ひとつ古代相撲らしさを感じない。

何よりも古代相撲の典型とも言える蹴りはまだ使っていない。 蹴るのか? ついにやっと蹴ってくれるのか?
……近代相撲の猛剣がもう蹴ってるけど。
あの時に宿禰はほう、彼も古代相撲を理解っているかくらいはエラそうにコメントしていれば良かったのに。

宿禰と零鵬の二人が並ぶ。
零鵬は195cm161kgとバキ世界でも破格の体躯である。
金竜山とあまり差がないと言えば急に弱くなった気がするけど。
14歳の頃は179cm97kgだったから順調に成長したと言えよう。
体重も力士らしくしっかりと増やしている。

それに対して宿禰は210cm強250kg強と凄まじい肉体を見せつける。
バキシリーズの中でもトップクラスの身長と体重である。
身長は高ければ高いほど弱くなる感もあるが、体重は重ければ重いほど単純にプラスだ。
体重の差を覆せるのは範馬刃牙と渋川先生くらいである。 範馬刃牙、覆せるんだよなぁ……

ともあれ、フィジカルでは宿禰がリードしているか。
大相撲力士たちは肉体自慢なところがあるしそこで負けていると先が危うい。
それだけに零鵬に大相撲の意地を見せて欲しくなる。
敗者の力士を責めなかったり思ったよりいい人ですしね。

体躯では圧倒されているが規格外の巨漢の巨鯨と戦い、それでも横綱で在り続けたのが零鵬だ。
まったく気圧されていない。
むしろ、巨漢ヨシ!な心意気なのだろうか。
零鵬はフィジカルは明らかに分が悪いが、メンタルは宿禰よりも強そうだ。
というか、そこくらいは強くないと先がない。

「2度目になる」
「1度目は「エア」だった」


宿禰はかつてエア零鵬を投げ飛ばしたことを語る。
あ、それ、なかったことにしないんだ! そんなわけでかつてのエア相撲は零鵬をターゲットにしていたことが発覚する。
もう3年前の話だから忘れていたのかと思っていたよ。
もう3年前!?

あの時は文字通り一蹴している。
エア相撲通りなら既に決着している戦いである。
そうなれば零鵬の大番狂わせに期待してしまうのが人情というものである。 宿禰が骨掴んでポイ捨てするよりも、零鵬が霊峰のような偉大さを見せて欲しくなる。
何かここまで応援しにくい味方側のキャラもなかなかいないな。
範馬刃牙かな?

「アナタは四股が」「まるで足りてない」

そして、あの時の言葉を本人に言う。
この侮辱と言える言葉に零鵬は笑って流した。
横綱だけあり器が大きい。
ここに至るまで全然喋らなかったのは宿禰と変わらないけど、ただの天才ではない積み重ねを感じさせたり器の大きな人格面といい人ですね、零鵬。
頑張れ、零鵬。お前が横綱だ。

「長引かせる」「横綱は3分後動揺する」

ここで金竜山が宿禰に指示を出す。
10秒の密度が武器の相撲らしからぬ持久戦が金竜山の描いた青写真だった。
普段の零鵬は短期決戦で戦っているから、慣れない勝負に持ち込もうという算段だろうか。
宿禰唯一の不安要素はキャリア不足だが、お互いに慣れない戦いをすればそれを補える狙いがあるのかも。

でも、金竜山は猪狩相手に長引いた結果、術中にハマって負けている。 その経験を考慮すれば短期決戦の方がいいんじゃないか?
場数を踏んでいるのは間違いなく零鵬の方だぞ?
こいつ、やっぱり大相撲サイドの裏切り者じゃないか?

「1分以内に終了おわらせます」

金竜山ガン無視!
いや、ちょっとくらいは聞いて上げましょうよ。
でも、1分ってけっこう長く見積もったな。
10秒の密度はどうした。
ともあれ、瞬殺宣言である。
下馬評通りなら本当に瞬殺して終わる。
零鵬に粘れる要素さえない。
でも、瞬殺されたら力士たちが地下闘技場戦士たち相手に粘った意味がない。 大相撲の評価を何となく上げたのにその筆頭が瞬殺されたらガッカリですよ。ボルト並みにガッカリだ。

なので、重ね重ねではあるが零鵬には頑張って大相撲の意地を見せて欲しい。
欲しいけど、……頑張れる姿がまったく想像できない。
実は花田だったという驚愕のネタで大逆転して欲しいところだ。
実は花田だったら余計にダメだけど。
次回へ続く。