そのお約束を踏まえれば郭海皇は郭春成にすぐに終わると言っておけば、刃牙と激闘を繰り広げられたかもしれない。
そうなのか?
ともあれ、すぐに終わらせる気の宿禰の未来や如何に。
「3分経てば向こうは勝手に自滅する」
「ご心配なく」
「一分以内に
というわけで、軽く前回のおさらい。
完全無視な金竜山をそこまで強調したいのか。
言い回しが前回とはやや異なるから、金竜山は再度言って再度聞いてもらえなかったのかも。
いっそスピードでかきまわせ絶対イケるッくらい言っておけば良かったのに。
宿禰も宿禰で少しくらい金竜山を立ててあげればいいのに。
宿禰君、君、金竜山のことを尊敬しているんですよね?
実物がけっこう俗物だからガッカリだったのか?
……少なくとも宿禰編の金竜山って力士版猪狩な趣だから、男らしいところ、あまりないんだよな。
なお、今回も宿禰の体色の変化には触れられていない。
いや、久し振りに出てきたら身体の色が変わっていたのならまだわかるんですよ。
試合場に入ってからいきなり変わったんですよ。ビックリですよ。
いつまで宿禰はガングロなのか、注目が集まるところだ。
ここから元の肌色に戻ったらそれはそれでビックリだけど。
ともあれ、太鼓が鳴らされて試合が
同時に二人共、腰を落とし立ち合いの構えを取る。
まずは近代相撲で激突するようだ。
古代相撲の原初、初代宿禰と蹴速の試合は蹴り合いから始まったのだが、宿禰は蹴る気はないようだ。
でも、蹴らないと近代相撲との差別化が難しい。 今のままじゃ範馬刃牙の方がよっぽど古代相撲だよ。
そうなのか?
どうなのかなぁ……
二人は呼吸を合わせ同時に踏み込む。
ぶちかます宿禰に対して零鵬はまずは張り手でカウンターを合わせる。
それで宿禰の勢いを殺し、さらにカチ上げを喰らわせる。
これで腰が浮いたところをマワシを取るのだった。
相撲において有利と言われる相手の脇を通してマワシを掴む諸差しの形である。
初手は零鵬の完璧な勝利だ。さすがは横綱か。
だが、横綱でありながら張り手とカチ上げと文句を言われそうな立ち合いだ。 ルールとしては問題なくとも、こうした立ち合いを横綱が行うと無作法と誹られるのが大相撲でもある。
現実の相撲だと白鵬が張り手とカチ上げで批判されていますね。
零鵬はこうした立ち合いを普段から行う強いけど無作法な横綱なのか。
それなら金竜山が威厳と言い出す気持ちもわからなくもない。
でも、宿禰の戦い方も相手の破壊が前提にありすぎて、これはこれで品位がないんですけどね。
もうちょっと穏当に済ませてあげよう。
それとも横綱らしい作法を気にしていられない強敵が宿禰なのか。
そこを解説していただけると物語の解像度が上がるから助かるのだが。
でも、宿禰の尊敬するガチ横綱は本部に初手で張り手を喰らわせたので、これはこれでありか?
初手から張り手を喰らうなよ。あらゆる打撃を受けて見切れるようになったんじゃないのかよ。
「
「取られたのか」「取らせたのか」
ともあれ、奇手とも言える手で零鵬は先手を取ることに成功した。
相手は未知の強者だけにこれは大きいと猛剣は見る。
対して炎はこの状況に対して訝しげだ。
横綱の信頼よりも宿禰への脅威が勝った形だろうか。
炎は格闘技の常識どころか生物としての常識が通じない相手と戦ったから警戒心が強くなっているのかも。
力士たちが反応する一方で地下闘技場戦士はノーコメントである。 ここまで宿禰が驚きも解説もしてくれなかったから、その意趣返しって感じですね。
親切はいつかは我が身に返るように、不親切もまたいつかは我が身に返ってくるのだよ、宿禰君。
やたらと驚いたり解説したり応援したりで場を盛り上げた本部は、守護ると言い出した時に総スカンを食らったけど。
「鼓膜がイッたな」
先手を取られた宿禰だがのんびりとダメージの値打ちをする。
とりあえず、鼓膜が破れたらしい。
平手で鼓膜が破れたとはよく聞くけれど、一発で破れるのは意外だ。
宿禰は実戦経験の少なさから打たれ慣れていないのだろうか。
力士たちの耳は全員潰れているけど、宿禰だけは潰れていないことからも不慣れが窺える。
宿禰は鼻をつまんで息むと耳から血が飛び出る。
同じようにやると耳に空気が流れ込むようなので、実際にできる一芸……なのか?
鼓膜が破れた人には挑戦して欲しい。痛そうだけど。
そんなわけで宿禰は相撲的には大ピンチのはずなのにのんびりとしている。
のんびりとできる程度の状況ということか。
「何か―――」
「お返ししないと…」
そして、宿禰は掴む。
マワシではなく肋骨を掴む!
アメリカ最強のオリバを下した恐怖の肋骨掴みである。
この技に力士たちは度肝を抜かれる。
零鵬も想定外だったのか、衝撃を覚え抵抗できない。
「おっしょいッッ」
そして、肋骨を掴んだまま、零鵬を投げた! オリバを下したあの投げだ!
オリバのように丸ごと肋骨がへし折れたわけではないが、一番下の肋骨、第十二肋骨がへし折れる。
宿禰も対戦相手の協力というか、抵抗がなければ全ての肋骨を折れるわけではないようだ。
逆に言えばオリバは素直に投げられていたら、ほどほどのダメージで済んだのかも。
ともあれ、零鵬、いきなり大ピンチである。
オリバを投げた時に地面なら死んでいたと宿禰は言っているし、地下闘技場の地面も相まってこれは大ダメージ間違いなしか?
本当に1分以内に終わってしまうと金竜山が完全な道化になってしまう。
零鵬にはもうちょっと頑張って欲しい気持ちもあるけど、何かいきなり厳しそう。
エア通りの試合展開になってしまうのか?
とりあえず、やっぱりフィジカルでは宿禰が圧倒的のようだ。 零鵬も体格は申し分ないけどそれを凌駕するだけのことはある。
一方で張り手からカチ上げで先手を取ったりと、打撃の上手さは零鵬が上だろうか。
まったくダメージを与えられていないけど。
鼓膜を破った程度じゃダメですよ。脳震盪を起こさないと。
宿禰の攻め手は超握力で骨を掴んで投げるばかりで、打撃がまったく描かれていない。
古代相撲はむしろ打撃の自由度が高いのに、だ。
つまり、宿禰には打撃が残されている。
うーむ、零鵬に逆転の目がなさすぎる……
実は花田で本部流柔術を使えるとかなら希望はあるかも。
刀と鎖分銅と
逆に零鵬が持久戦を仕掛けてみるか?
体格がとんでもない宿禰だけど、それだけに持久戦には弱そうだ。
つまり、金竜山のアドバイスは宿禰を貶めるための罠だったのだ!
……金竜山はいろいろちぐはぐすぎてそっちの方が納得できるんですけどね。
次回へ続く。