~~~~~~~~ッッッ。
ハッキリ言って盛り上がらん!
徳川財閥の科学力を総結集させて生み出した100kgのカマキリをくれ!
なお、Netflixで範馬刃牙が公開中だ。
いきなり全話見られるぞ!
「ハルルル……」
もはや先行きに不安しかないみっちゃんのチベタン・マスティフの飼い犬、ノロはさながらピクルのような唸り声をあげる。
まさかピクルの遺伝子を犬に注入したのがこのノロの正体なのか!
徳川脅威のメカニズム!
それはそれとして、見ず知らずの巨漢を前にしても無闇に噛み付かない辺りはしっかりと調教されているようだ。
でも、加納秀明に従うくらいの野生度なんですよね。
うーん……バキ世界における野生は飼い慣らされないほど良いのだが……
そんなノロを前にジャックの目には何が映るのか。
全身に張り巡らされた大小問わず膨大な数の血管が見えていた! 奇異な視点ではあるがジャックに観察眼が身に付いたことの証明……なのか?
勇次郎にも類似の技術、というよりも感性はあるから、ジャックの範馬の血が濃くなった証左としておこう。
良かったなぁ! 血が濃くなって!
「ドコヲ噛ンデモ出血スル」「スナワチ」
「「嚙道」カラ見ル動物トハ」「人間モ含メテ」
「急所ノ「塊」ニ過ギナイ」
生物には血管ばかり走っている。
つまり、嚙道にとって生物は急所の塊!
当たり前のことを言われても反応にちょっと困る。
急所の存在を意識して噛み付くのが嚙道なのか?
血管を把握できるようになったのなら、動脈を狙えば致命傷を与えやすい。
今までのジャックは噛み付きの攻撃力に甘えて狙う部位がかなり雑だった。
そこは勇次郎にダメ出しされているし、本部にも一本取られてしまっている。
こうした失敗をようやく考え直したのが今のジャック……なのかも……
ジャックはあぐらをかいて、リードを外すように言う。
ジャックの顔面とノロの顔面が肉薄する。
少しでも踏み込めば噛み付ける距離である。
この状況、不利なのはジャックだ。
あぐらでは咄嗟の動きはできないし、急所の顔面を近付けてしまっている。
ノロはジャックに噛み付こうとする。
が、ジャックの動きは素早い。
あぐらの状態から素早く逆立ちになって回避した。
2m43cm200kg以上とは思えない機敏な動きである。 本部にも評価されただけあり、化け物じみた身体能力だ。
瞬発力は無論として、バランス感覚も凄まじい。
……でも、本部に評価されるってむしろマイナス印象だな。
ジャックは逆立ち回避からノロの後ろに回り全身に組み付き裸締めを敢行する。
如何に地上最強の犬と言えど生物である以上は背面は死角! 反撃不能!
って、噛み付くんじゃないんかい。
これくらいならできる人、けっこういると思うのですが……
「頸椎ト動脈ガ眼ノ前デス」
「何ナラ…」
「噛ミマショウカ………?」
いや、裸締めは噛み付きのための前振りだった!
なるほど、無闇に噛み付くのではなく、相手を無力化した上でトドメに噛み付きを持ってくる……
意外にもまともで至極常識的かつ有効なジャックの立ち回りだった。 てっきり面白いおかしい噛み付きに開眼したと思ったのに……!!
今までのジャックは前置きなしに無理にでも噛もうとしていた。
噛み付き自体の攻撃力が尋常ではないため、十分な脅威だったのだが、狙いが露骨だったが故にかわされたり破られてしまうことが多かった。
噛み付きが決まるにしても不意打ちの形が多く、警戒されている時はほとんど当たっていなかった。 噛み付きをもっとも全面に出した渋川先生戦でも、致命傷を与えたもののかなりの数をかわされている。
だからこそ、噛み付きに至るまでの道筋を整理、もっとも有効に活かせるタイミングに導くのが嚙道なのか。 いや、何かもうちょっとイロモノだと思っていたけど、ちゃんとしてますね、嚙道。
本部に負けたことは無駄ではなかった。
いや、本当に無駄ではなかったな……
ジャック自体は恵まれた体躯に脅威的な瞬発力を兼ね備えており、フィジカルでは他に並ぶ人間はほとんどいない。
敗北の度にフィジカルを強化する方向に走っていた成果と言えよう。
だが、ピクルにフィジカルで惨敗し、本部のような格下にフィジカルが通用せず負けて、方向転換の時が来たのか。
フィジカルをそのまま鍛えるのではなく、フィジカルをどう生かすかを探っているように思える。
嚙道はその一端なのだろう。
ただの力押しではなく洗練されたのが新生ジャックなのだ!
もしかして敬語に変わったのも知的な側面が現れたからか?
これでいざ試合が始まるといきなり噛み付きまくれば笑っちゃうんですけどね。
ジャック兄さん、無理と無茶を重ねれば通ると思っている節があるしどうなることやら。
そして、肝心要の宿禰はどこへ行ったのか。
傷心旅行はまだまだ続くのか?
次回へ続く。