バキ道感想 第138話「嫌な夜」



瀕死の蹴速に目突きが放たれた。
このまま喰らうようだと蹴速2000年の歴史の意味がなくなってしまう。
そもそも仕切り直す意味もない。
気を付けろ、独歩! 手首に爆弾を仕込んでいるぞ!


「両耳ナシ……」
「右足は壊れている……」
「肋骨 胸骨はメチャクチャだ……」


独歩はゆる~……白目で迫り来る蹴速のダメージを推察する。
致命傷も致命傷なのに対して独歩は無傷だ。
蹴りに拳を合わせて無傷というのもおかしいが無傷だ。

絶望的なダメージだが手負いの獣ほど恐ろしいもの。
独歩自身も耳を裂き、手を砕き、膝を砕き、胸骨を砕いたドリアンに痛い目に遭わされている。
なので、一切の手心なしの目突きを放つのだった。

だが、蹴速も何の勝算もなしに仕切り直したわけではなかろう。
むしろ、目突きという良く言えば高等技術、悪く言えば命中させにくい一撃を用いたのはチャンスでさえある。
そこにカウンターを合わせて逆転勝利が蹴速の描いた未来図に違いない!

さて、そんな独歩も目突きはどうなるのか。
普通に決まった。
決まったァァアアアアアアアアアアアア!!!?? 決まっちゃったよぉおおおおおおお!!!!??
蹴速、何の策もなし! ただ仕切り直しただけだった!!

もっとも、目ではなく鼻の穴に人差し指を中指が入った。
指が根元まで入って鼻が軽く裂ける。
これは痛い。裂けるのも痛いし根元まで挿入されたのも痛い。
思わず蹴速は涙を流す。初めての挿入だから致し方あるまい。

鼻穴への攻撃は野生にだって通用するえげつない一手だ。
フィジカルに関係なくダメージを与えられるからか、人間相手にもオリバや巨鯨に用いられている。
肉体に与えるダメージ以上に苦痛を与える、心を折る攻めと言えよう。

独歩は指を鼻穴に突っ込んだ状態で指を折り曲げ引っかける。
そして、そのまま顔面を引き下ろして床に叩き付けた。
床に顔面をぶつけた蹴速は大量の血を流し起き上がることはなかった。
仕切り直したものの何の結果も残せなかった。
独歩、2連完勝である。

「目ン玉外したのは―――――― せめてもの敬意としてくんな」

もっとも、瀕死なれど仕切り直そうとした根性は独歩も認めざるを得ないのだった。
だから、再起不能なダメージを与えることはなかった……けど、それならそれでもうちょっと普通にやっつけてあげたらどうか。
鼻の穴に指を突っ込むのはちょっとえげつないぞ。
敬意は表せど加減はしない。それが独歩も流儀であった。

蹴速、仕切り直した上であっさり負けた。
何のための仕切り直しだったのか。
何のための捕鯨砲だったのか。
いや、捕鯨砲、何で挟んだ!? ねえ、何で!?

さて、ある病院のリハビリ室。
ここで凄まじい重量のバーベルを凄まじい勢いでベンチプレスをする男がいた。
怪力無双ビスケット・オリバである。
オリバを生け贄に捧げることで宿禰が召喚されたのだが、ベンチプレスをできるほどには回復したらしい。
あそこまでメチャクチャに破壊された肋骨が元通りとは現代医療恐るべしである。

オリバの傍らにいるのは当然スーパードクター鎬紅葉だ。
紅葉のベンチプレスのマックスである400kgをオリバは何セットも続けていた。
このことから単純な筋力では紅葉を超していることがわかる。
一時期は前線に戻るかと思われた紅葉だけど、結局はドクター役に収まっていますね。

ベンチプレスの道具なしでの世界記録は300kg、道具ありでは500kgだ。
オリバの道具なしでの400kgはその中間ということになる。
スゴいにはスゴいけど現実的な数値って感じですね。

リハビリ室は筋トレ用のバーベルだらけだった。
オリバ用に改造したことが窺える。
やることがウェイトトレーニングだけなのはオリバらしい。
この人、頭良かったはずなんですけどね。すっかり脳筋だよ。

ともあれ、リハビリ室を改造する心遣いにオリバは素直な感謝を述べる。
オリバらしい紳士的な態度であった。
そして、病み上がりなので大人しくしているとオリバは語るのだった。
紅葉、まったく信じていないけど。

こうしてオリバが向かった先は夜の街。
そこを歩く宿禰だった。
宿禰かい!
いや、復活したからにはリベンジマッチは必然ではあるけど、まさか宿禰が出てくるとは思わなかった。
これによって蹴速の放置が確定した。
何だったんだよ、お前……

「「リハビリ」ダ付キ合ウヨナ」

オリバは宿禰に挑戦状を叩き付ける。
蹴速の仕切り直しとは違う勝算あっての仕切り直し!……だよな?
オリバのやられ方はいいところが何もなかった。
なので、このリベンジマッチで復権してもらいたいところだ。
かつては勇次郎と並び称される強者だったし!
いや、その風説を潰したのは勇次郎自身なのですが。

鳴り物入りで出てきた蹴速はいいところ何もなしでやられた。
そして、宿禰の3連敗を賭けた戦いが始まろうとしている。
いつの間にやら相撲清算編が始まってる感じですね。
上げようとしてよくわからない株価になってしまった相撲の株をドンドン下げていく凄惨な流れだ。
板垣先生らしいと言えばらしい。
ボクシングがよく被害に遭っている。

評価が落ちた旧キャラに復権のチャンスが与えられるのは素直に嬉しい。
ジャックもオリバも不当に評価が下がった感じですからね。
なので、強かった頃のオリバを思い出させて欲しいところである。
屈指の実力者だったはずなのに刃牙に負けてからすっかり印象が薄くなってしまったしね。

この調子で本部も相撲に素手で挑んでみるか?
本部が素手で相撲を圧倒すればそれはそれで熱いからやってみて欲しい。
合併号2つと休載を挟んで次回へ続く。
つまり、続きは1ヶ月後だ!