バキ道感想 第140話「目線」



三角形の力士によって肋骨を粉砕された逆三角形の俺がリハビリを経て復讐してみたら~相撲じゃなく実戦なら負けるわけがない~
でも、いくら何でも前回から時間が経っていなさすぎる。
ジャックみたいに技術面で進化したわけでもない。
これで勝てたら追放系になるんだけど大丈夫か、オリバ?


オリバ曰く相撲の間合いではないが宿禰曰く古代相撲の間合い。
相撲は間合いを選ぶが古代相撲は間合いを選ばないということか?
そんなリプレイもほどほどにまずはオリバが仕掛ける。
初手はアッパーだ! 宿禰はモロに喰らう!

以前のオリバは真っ向から殴って拳を砕かれている。
宿禰の推力と体重を真っ向に受ければオリバの拳でさえ砕けるのだ。
けれど下からなら潰されないという算段か。
前回の反省を踏まえた初手であった。もうすっかり忘れられているけど頭脳明晰設定なだけのことはある。

さらにオリバは顔面に拳をブチ込む。
アッパーの後なのか、宿禰も合わせることができなかった。
宿禰にも一度勝った慢心があり、
この初手を許してしまったのかもしれない。

しかし、かつてのオリバのパンチは宿禰に一切通じなかった。
ぶちかましに合わされて拳を砕かれたこともあれば、不意打ち気味に殴っても宿禰は動揺することがなかった。
オリバの打撃力は宿禰のタフネスに及んでいないのだ。
ジャックは得意の打撃戦、コンビネーションでそのタフネスを揺るがしたが、オリバはどうするのか。
このパンチ一発では決定打にはならないぞ。

そう思っていたら宿禰が数mに渡って吹っ飛んで車が砕ける。
ああっ……関係のない一般人の車がっ……
予想通りだったが駐車場に停車していた車は多大な被害を被るのだった。
まぁ、オリバさん、金は持っているのは間違いないから後で損害賠償を請求しておきましょ。
けっこう色付けて払ってくれると思うぞ。

って、そうじゃねえ!! 何で宿禰が吹っ飛んでいるんだよ!!
以前は歯牙にもかけなかったのに今回は間違いなく多大なダメージを受けている。
打撃で吹っ飛んでダメージを受けない奴は消力を用いている時くらいだよ。
いや、オリバさん、強くなりすぎじゃないですか?
これじゃ勇次郎クラスの筋力……いや、初期の頃のオリバはそれくらいの強さを秘めていたか?

オリバが強くなったのか、宿禰が弱くなったのか、どちらなのかはわからないがいきなり大ダメージだ。
バキ世界屈指のフィジカルの持ち主であるはずの宿禰相手に、よりにもよってフィジカルで大ダメージを与えている。
あのジャックでさえ宿禰のフィジカルには一定の評価を下していたのに……

しかし、宿禰もやられるばかりではなく一気に立ち上がり組み付く。
そして、初手から必殺の肋掴みを行う。
以前のオリバは捕まれただけで瀕死、息も絶え絶えになっていた。
オリバの筋肉が通じない圧倒的な掴みなのだ。

だが、今回のオリバは一味違う。
宿禰の両腕に脇を回して両腕で締め上げる。
相撲で言う閂であり、他の格闘技でも用いられている型である。
小学、中学の相撲では禁じ手となっており、それなりに危険な手でもある。
この閂によって肋掴みは外れてしまうのだった。
……外れた?

「外レチマッタナァ……」

外れちまったよ!?
宿禰の必殺の型が力だけで崩されてしまった。
オリバの筋力がまったく通じない相手が宿禰だったのに今回は通じまくっている!
いや、前回は一体何だったんだ? 時差ボケでもしてたのか?

オリバはこの形のまま、背面に反って宿禰をブン投げる。
変形型スープレックスである。
200kgの宿禰を勢いよく投げる筋力、額が地面に着くほどの柔軟性とフィジカル自慢のオリバの強みが出ている豪快な投げだ。
宿禰の顔面が地面に激突して大ダメージ……だが、宿禰は宙で回転して着地する。
巨体に似つかわしくないバランス感覚……と褒めたいところだけど、オリバの強さがおかしすぎて霞んでしまう。

いや、君、前回は惨敗してたじゃん。
10回やって10回負けるレベルの大敗じゃん。
まるで本部を見ているかのような唐突な大活躍に困惑が隠せない。
オリバの活躍は期待していたけど、ここまで不自然な活躍をされると喜ぶ前に困ってしまう。

「手四ツ」「力比ベダ」

さらにオリバは手四つを仕掛ける。
宿禰は石炭をダイヤモンドにする異常な握力の持ち主。
握力勝負は無謀に思えるが今のオリバは強すぎる。あと宿禰が何か弱い。
なので過信ではなく自信……なのか?

なお、オリバは右手で仕掛けているので宿禰は左手で応じることになる。
宿禰側は利き手じゃない上に小指を欠損している。
ちょっとセコ……いや、相手にハンデを背負わせる頭脳プレイである。

「体重はせいぜい半分ていど―――」「力比べを挑む拠り所はその―――」
「バカげた筋量か」


君、以前は痩躯とか言ってたじゃん!
体格最強クラスのオリバを痩躯と呼ぶだけの余裕があったじゃん!
あとオリバは(ゲバルの見立てだと)150kg↑なので言葉通りだと宿禰の体重は300kgになる。
いくら何でも重すぎる。

宿禰は混乱しているのか、ちょっと分析が狂っている。
それもオリバの戦力を高くではなく低く見積もってしまっている。
そして、前述した利き腕じゃないし小指のない左手を用いた手四つに応じてしまっている。
フィジカルなら誰にも負けたことのない驕りからか、オリバのやりたいことをやらせてしまっている。

逆に自分が一番やりたい肋掴みを潰されたから、オリバのやりたいことを潰して心理的有利を取る狙いがあるのか?
でも、この人、フィジカルが強すぎるからか、相手のことをあまり考えずに戦うタイプだ。
同じフィジカル自慢でもピクルはけっこう相手を見ているから、性格の問題なのかも。
野生故に臆病な一面も見せるピクルと傲慢故に恐れ知らずの宿禰みたいな。

「「力士」―――ト呼バレテル割ニハ」
「非力ダ」


手四つになればおかしい握力を持つ諸々のハンデを含めても宿禰が有利……
と思いきやオリバが圧倒! 宿禰の巨体が崩れる!
いくら何でも強すぎるだろ!?
パーティから追放されたり異世界転生したかのような唐突過ぎるパワーアップだ。
いや、何で君、そんなに強くなったんですか? ナンデ?

オリバが強い!
強いには強いが名前がビスケット・本部になったかのような強さだ。
リハビリ期間に何があったんだ?
それとも宿禰の肉体と精神が不調なのが原因か?
蹴速が一蹴されたのは蹴速が実は弱かっただけで片付くけど、宿禰は実績があるし特にオリバに対しては完勝している。
それだけにビックリだし納得がいかない。
紅葉か本部、お前、オリバに何をした?

設定と描写を大事にするオタクとしては唐突なオリバの圧倒に困惑しかない。
タフネスを打ち破る打撃力、必殺技を封じることができる、握力で圧倒……
普通に考えたら蹴速には勝ち目がない。何かストロングポイント全部ダメじゃん。
しかも、圧倒している要素に逆三角形が関係ない。ただのパラメーターで押している。
此は何事ぞ……

それだけに次回から目を離せない。
いや、これは素直に次回が気になりますよ。
結果が見えすぎて全試合消化試合だった大相撲力士編とは勢いが違いますよ。
次回へ続くが次週休載!
宿禰さんは1週間の休みの中で逆転策を考えといてください。