刃牙らへん感想 第1話「刃と牙」



新たなバキシリーズ『刃牙らへん』が始まる!!
今までにないタイトルですね。
刃牙じゃなく刃牙以外のキャラを描くシリーズなのかも。
とりあえず、範馬刃牙は出てこない。
何かさらば範馬刃牙って感じですね。


さて、諸悪の根源、巨悪と讃えられる存在、徳川光成はある男と徳川邸で出逢っていた。
20名以上を斬殺した人斬り佐部京一郎(63)である。
独歩外伝拳刃からの輸入キャラだが刃牙道に続いてまた出てきた。
外伝から唯一の輸入キャラな辺り、板垣先生のお気に入り枠なのだろうか。

佐部曰く63歳を迎えてなお鍛錬を続けているようだ。
それを物語るように還暦ながらしっかりと筋肉が付いている。
武蔵に剣客としての圧倒的な差を見せつけられて佐部は剣を捨てることはなかった。
人斬りであれどその根底は立派な武道家であった。人斬りではあるけど。

「かつておぬしが逮捕された際――――」「大変だったからのォ」

衝撃! 佐部は逮捕経験があった!
さらに刑務所に叩き込まれている。
人斬りしたのによくシャバに出てこられたものである。
みっちゃんが金を積んだな。間違いない。

「あの――――――――「人斬りサブ」にこそ」「”教え”を乞いたい………」

だが、刑務官や機動隊のような剣道の猛者たちは極悪の人斬りに教えを乞うことを熱望したらしい。
善悪を抜きにすれば佐部の剣の技術は最高峰。その道を歩む人間にとって師にしたいほどということか。
佐部は人を斬る覚悟だけでなく超一流の剣の腕を兼ね備えているのだ。

でも、こういう持ち上げ方は武蔵と対峙する前にして欲しかった。
今となればちょっと面白い人枠なんですよね、佐部京一郎。
何なら一流の武器術の本部と一緒に驚いたり解説したりしてそっち方面に磨きをかけて欲しい。

佐部は過去一度だけ斬殺で逮捕された経験があった。
その1回を除けば上手くやり過ごせていたらしい。
そうなれば何で逮捕されたかの方が気になる。
みっちゃんが恩を売らせ自分の手駒とするために事件を仕組んでいたりして。
みっちゃんならそれくらいはやる。やらないという発想の方がない。

そんな佐部を呼び出したのは武器VS武器の試合を行わせるためだった。
つまりは生き死にを賭けた戦いということである。
佐部はここで宮本武蔵を連想する。
人斬りの佐部が堂々と逃げ出すほどの圧倒的格上だけにやりたくはないのは当然だ。
そこはみっちゃんは苦笑しながら否定するが、死合いというとても苦笑できるような内容の話ではないことは理解しておきたい。
徳川光成、刃牙らへんになっても相変わらず人の命が軽い男である。

佐部の相手が使う武器は歯。噛み付き。
嚙道ジャック範馬VS人斬り佐部京一郎の変則マッチが成立だ!!
人が死ぬかもしれない試合だが地下闘技場は満席かつ大盛り上がりだ。
みっちゃんだけじゃなく観客たちも倫理観を捨てた感がある。
どうやらみっちゃんの狂気が伝播したらしい。

ジャックは243cm211kgに対して佐部は178cm86kg。
還暦を迎えた男性だがけっこう恵まれている体躯だ。
鍛錬を欠かさず続けていることがわかる。
素手の格闘技での対決なら条件が有利すぎて逆にジャックが負けてしまうが、佐部は日本刀という勇次郎でさえ冷や汗を流す武器を持っている。
ハンデはなしか。

「無茶ナ申シ出ヲ受ケテ立ッテ下サッタ」
「感謝シテマス」


両雄が並び立つとまずはジャックが頭を下げて感謝を示した。
ジャ、ジャックらしくねぇ……
バキ道で再登場した時からだったとはいえ、慇懃無礼な無頼派ファイターのジャックが対戦相手に感謝するのはらしくなさすぎる。
嚙道を身に付けたことで礼節も身に付けたのか?
本当に台湾で何があったんだ?
そろそろそこを回収してくれると嬉しいのですが。

この感謝を見て佐部はジャックに勝算があるからこそできると読む。
佐部は佐部で感謝した相手を斬り殺す気満々ですね。
殺人を目前にしても笑みを絶やさないその精神性が人斬りを人斬りたらしめているのか。

ともあれ、デンジャラスファイターとデンジャラス人斬りの戦いが始まった。
佐部は一気に駆け寄り抜刀して頭部狙いの初手を放つ。
当たれば即死なのに躊躇いがまるでない。
もっとも、ジャックにとっては読みやすい攻撃でもあったのか、かがまれることであっさりとかわされる。

だが、これは佐部にとってはフェイント。
身をかがめちょうどいい高さになったジャックの顔面目がけて横一文字を放つ。
初手は片手での居合い術だが今度は両手で握って威力2倍!
確実に殺すための初手だったのだ。人斬りは容赦がない。

この一閃をジャックは噛み付きで受け止める。
歯を用いた真剣白刃取りだ!
やるかと思ったら期待に応える形でやってくれたと言えよう。
これでジャックがリーチを活かしたジャブで先手を取って佐部に勝ったらむしろ伝説になっていた。

この荒技に佐部は滝のような冷や汗を流す。
さらにジャックは受け止めただけでなく、噛み付きで日本刀をへし折る。
凄まじい咬筋力であり、凄まじいチタンの歯の硬さである。
……咬筋力だけでへし折ったのならエラいんだけど、チタンの歯が見え隠れするから武器頼み感もちょっとするんだよな。

刀がへし折られ心も折れる。
佐部は両手を挙げてギブアップ、この刃牙対決はジャックが勝利するのだった。
刃牙対決はかつてピクルと武蔵も行っており、その時は刃を持つ武蔵が勝ったが今回は牙を持つジャックの勝利だ。
リベンジ達成か?

なお、刃と牙を名前に持つ男は新連載1話目なのに出番なしである。
表紙くらいしか出番がないよ。
刃牙らへんでは刃牙の出番は今まで以上に削られることになりそうだ。

一方、刃牙らへんのとりあえずの主役はジャックになりそうだ。
ジャックの落ちぶれ方には板垣先生としても忸怩たるものがあるらしく、バキ道の時には作者コメントでジャックというキャラを建て直すと発言している。
そのコメントの通り、宿禰との戦いは低迷気味だったバキ道の中では間違いなくベストバウトと言えるものだったし、刃牙らへんでも引き続き主役として活躍させるつもりらしい。

でも、正直、ジャックは応援をしにくいキャラだ。
求道者過ぎて人間味をあまり感じさせない性格だったり、噛み付きによって重傷を与える戦い方だったり、どちらかと言えばヴィランとしての味付けが濃い。
それだけにジャック範馬という人間そのものに焦点を当てていけば面白いかもしれない。
とりあえず、台湾で学んだことには触れて欲しい。
次回へ続く。


さて、只今X(旧Twitter)で30周年プロジェクトの一環として刃牙史上最強ドリームマッチが行われている!
もっとも見たいマッチメイクを募集、#刃牙史上最強ドリームマッチのタグを付けて呟くというものだ。
抽選でサイン入りポスターが当たるぞ!
ドリームマッチは誰もが期待するものだし、何よりも面白いと思ったマッチメイクは刃牙らへんで実現するかもしれないと思うとなかなか良き企画だ。
何故か除海王が映っているのが気になるけど。
というわけで私もドリームマッチを考えていきたい。


・烈海王VS鎬昂昇
烈海王にだって勝てると言う言葉が本当だったのか試してもらいたい!
……というのもあるのですが、ドイルで見せた昂昇の立ち回りは本当に格好良かった。
それを出るだけで盛り上がる烈にぶつければどんな化学反応が起こるのかは真面目に気になる。
烈を復活させる好機と捉えましょう。
いい加減、復活させてもいいと思うんですよね。クローン技術でどうとでもなる。
せっかくだから武蔵に殺された機動隊の方々も復活させてみっちゃんには償いをね……

・本部以蔵VS野見宿禰
正直、宿禰はもう出てこなくてもいい感はあるけど本部と戦うのなら話は別だ!
作中最高峰の実力を持ちながら金竜山に負けてしまうという大失態を犯してしまったのが本部だ。
そんな本部が最強の力士、宿禰にリベンジを行う!
いや、どうなるか気になりますよ。是非、本部さんには張り切って自分の地位を守護ってもらいたい。武器使ってもいいぞ。
これで宿禰に勝とうものなら独歩を1分で殺せるといった時代まで株を戻せるぞ、多分。

・烈海王VS渋川剛気
最大トーナメントの3位決定戦だ!
互いにベクトルは異なるとはいえ最高峰の技術を持つ者だ。
高度な技術を駆使した立ち合いになることは間違いない。
渋川先生は何か妖術まで到達している感はあるけど、それを烈がどう捌くかも気になるところである。

・加藤清澄VS末堂厚
驚愕二人組対決だ!
こいつら、一体どっちが強いのかまったく読めないしわからない。
お互いにドリアンにはそこそこやり合ったし。
末堂なんてドリアンが自爆を実行しなかったらもうちょっと追い詰めていた可能性もある。

・安藤さんVSアンドレアス・リーガン
まさかの同じモデル対決!
どっちが強いというか何で同じ人物をモデルにしたんだ、あんたら。

・岩浪混沌カオスVS船井零
使い捨ての噛ませ犬のはずなのに妙に印象に残った二人対決だ。
混沌君はその名前が印象に残り、船井零は心瞑活殺流という流派が印象に残った。
お互いに瞬殺されたけど戦い方自体はどちらもけっこう格好良かったりする。
噛めば味が出る気はするのでもうちょっと掘り下げて欲しい、かも……


ドリームマッチ路線で話を展開していくのは全然ありなので刃牙らへんには期待したいですね。
あと死刑囚たちのリベンジもそろそろ……
何かシコルスキーは別の人生を満喫しちゃってますけどね!