刃牙らへん感想 第30話「牙をむく」



ジャックがマウントを取った。
近代格闘技においては必勝の型であり、バキ世界においては必敗の型でもある。
前回、言及したけど本部さんしか成功した例がないぞ。
お前は本部になれるのか、ジャック!

拳法における最強の手技、鉄槌!
拳を打ち付けるだけながらその威力はとんでもないのだ!
でも、バキ世界ではこういう振り下ろし系の技はちょっとデバフがかかっている気がしないでもない。
現実で強い技は逆張り補正がかかりますからな。
ムエタイなんて格闘技そのものに補正がかかってる……

その鉄槌をジャックはピクルの顔面に振り下ろした。
一発だけでなく何発もぶちかます。
これを受けてピクルの目が泳ぐ。
タフネス自慢のピクルと言えど豪打を連打されればけっこう効くらしい。

思えばピクルが戦って来た恐竜には連打の概念はなかったに違いない。
突進、踏みつけ、噛み付き。恐竜の武器はどれも重く強烈だが一発だ。
真マッハ突きのような玉砕覚悟の一発にはダメージを受けても比較的早期に回復している。
対して刃牙の胡散臭い打撃の連打には追い詰められていた。
強者の放つ連打には慣れておらず、それ故に意外な弱点なのかもしれない。



連打で意識が曖昧になった隙を見計らいジャックはピクルの顔に噛み付く。
って、顔かよ。
急所に、頸動脈に噛み付け! だから、甘さを捨てたとか信じられんのだ!
でも、顔ならピクルに噛み付き返される可能性は低い、か?
噛み付きの専門、嚙道ならではの深い駆け引きなのかもしれない……

ジャックは噛み付き次第、噛みちぎる。
ピクルの顔面左の目から下の肉が失われた。
筋繊維が見える。久し振りのグロ表現である。
顔面の皮があっさり剥けるのはちょっとタフっぽいが、バキ世界ではわりと使われている表現なので起源主張してもよいぞ。

ジャックはかつて顔を食われたのでやり返した形となる。
顔面の右半分は無事だが目に届くくらいの肉を噛みちぎっているから縦では勝っている。
若干、紳士に目覚めたジャックだが相変わらず戦い方はえげつない。
刃牙もえげつないし範馬兄弟は主人公適性がいまいちない。
いや、刃牙に主人公適性がないというか、活躍そのものをあまり求められていないというか。

この大ダメージに観客のみならず刃牙と花山も息を呑む。
みっちゃんは哄笑わらっていることだろう。
ペイン博士は失禁しそうだし、その結果、みっちゃんに自慢の拳銃を向けても誰も責められまい。

現代でピクルは左耳に続いて治らないダメージを負った。
せっかくのイケメンが台なしである。
そのどちらも与えたのがジャックというのが運命的である。
でも、顔面の皮が剥がれた花山も独歩もジャックも結局は治っているんだよな……
ピクルも肉を食べればそのうち治っちゃうか?
なお、刃牙に折られた牙は治ってしまっている。お前は鮫か?

喰われたことでついにピクルから笑いが消え、凶悪な目付きを見せる。
この瞬間、ジャックは遊び相手ではなく餌、いや、敵になったのかもしれない。
相変わらずジャックはピクルを怒らせる能力が高い。
というよりも喰われるという体験に対してピクルは強い怒りを覚えるのか。
ティラノサウルスに食われそうになった過去が原初の怒りを呼び起こすのかも。

ピクルは噛み付いてやり返そうとする。
相手にやられたことはやり返すのが本能か。
そこにジャックはカウンターで左のローキックを顔面に打ち込む。
ピクルの動きを先読みしたかのような完璧なカウンターであった。
これにはピクルの勢いも途絶え吹き飛ぶのだった。

ジャックが難関であるマウントポジションを成功させた。
顔面の皮を剥ぐという大ダメージを与えたから成功と言ってもいいだろう。
野性もマウントポジションには敵わなかったのだ。
……もしかして2週間休んで思いつかなかったとか?

ピクルのあまりのやられっぷりに歯が折れたかと思ったが、蹴りを受けてもそこは無事だった。
ジャックの攻撃はピクルの顔面に集中しているし歯を狙っているのか?
ジャックもかつて刃牙と戦った時に歯を狙われた。
ほう、経験がいきたな。
……と言いたいけど、結局、ジャックの歯は折れなかったな。
まぁ、やらんよりはマシなのですが。

ピクルも噛み付きが武器な上に象徴なだけに歯を折られれば一気にピンチだ。
一方、健在である以上はまだピクルにも逆転の目はあると言えよう。
でも、ピクルさんの歯、いきなり折れることもあるんだよな。
はい、範馬刃牙に折られました。
むしろ、あの時は何で折れたんだ……?

顔面の皮が剥がれるのは痛々しいが戦いにどこまで影響を与えるのかは怪しい。
顔面の皮を剥がされた格闘家は何人かいる。
今までの前例を見ていきたい。


その1 花山VSスペック
それ以前にも勇次郎がベトナム戦争時代に顔面の皮を剥がしていたが、本格的に剥がされたのは花山が初めてだ。
剥がされたというよりも弾丸で頬を吹っ飛ばされたって感じだけど。
でも、頬周辺の皮も剥がれていたので顔面の皮を剥がされた扱いで。
戦いが進むごとに傷が少なくなっていき、失われたのは頬の皮だけに収まったけど。
戦いの中で回復した……?

大ダメージだったが花山は耐えるばかりか、そこからの一撃で前半戦を制する。
ダメージだけならスペックよりも大きかったはずだが、後半戦も制した。
初の顔面皮剥ぎは問題なく継戦できた上に敗北に終わるのだった。

その2 独歩VSドリアン
勝ったと思われた独歩だがドリアンの爆熱ゴッドフィンガーによって顔面の皮全部を剥がされてしまう。
個人的にバキ史上で一番グロい場面で今でも見るのがちょっと苦手だ。
花山の前例があるし何とかなるかと思ったが独歩はこのまま沈むのだった。
継戦もできず戦いにも負けるのだった。

しかし、ポイントは復活の速さだ。
死刑囚編の間には独歩の顔面は回復している。
とんでもないダメージのはずなのに復活はあまりにも呆気ないのだった。
まぁ、あのままフェードアウトされると生死不明で後味が悪い(というか悪かった)ので早々に再登場させて安心させる意味合いもあったとは思いますが。
なお、同じく顔面の皮を剥がされた花山は死刑囚編中は回復しなかった。
それを踏まえると回復速度が異常に速い……

その3 勇次郎VS劉海王
勇次郎が劉海王の顔面の皮を剥いだ。
ベトナム戦争でも剥いでいたし得意技なのだろう。多分。
顔面の皮全部を剥がされると独歩と同じレベルの大ダメージだが、劉海王は立ち上がって反撃を試みる。
だが、ハイキックを受けて敗北となる。

継戦そのものはできたが戦いには負けている。
ダメージそのものは尋常ではなかったようで継戦できたとも言い難い面もある。
でも、皮を剥がれた状態でもサムワン海王とか除海王あたりには問題なく勝てた気はする。
範海王相手にもワンチャンある。

その4 ジャックVSピクル初戦
ジャックは顔面の皮下半分をピクルに食われている。
しかし、問題なく継戦。
最終的に負けたものの顔面の皮を剥がされたダメージはなかったと言ってもいい。
汗を拭っているような描写もあったし、何か元からそんな状態だったのでは……?


というわけで、剥がされた側が敗北した例は3つ、剥がされた上で継戦できた例は3つとなる。
継戦の例の一つは劉海王なので怪しいと言えば怪しいのですが。
勝敗に注視すれば剥がされてなお勝ったのは花山だけだ。
顔面皮剥ぎは見た目のインパクトがとんでもないだけにそれが勝敗にも繋がっている。

それでも継戦できている格闘家は多い。
そのまま倒されたのは独歩だけだ。
正直、独歩には包帯巻いてでも頑張ってほしかったところはある。

というわけで、最終的な勝敗はともかくとして、ピクルにとって顔面の皮を剥がされたことはそこまで痛手ではなさそうだ。
顔面皮剥ぎは見た目は痛々しくとも戦いに影響を及ぼさない程度のダメージと言えるかもしれない。
また、前例を見ても数ヶ月放っておけば再登場時に問題なく回復していると思われる。
命に別状はないと生存自体は確認されているものの顔面の皮を剥がされてその後が不明なのは劉海王だけだ。
劉海王は顔面の皮がどうとかより歴史上から存在が消された感はありますが……

今のところ、ジャックの思うように試合が進んでいる。
だが、ピクルはキレたのでここからが本番……か?
白亜紀闘法と最終形態が炸裂する……か?
白亜紀闘法は刃牙にあっさりと対応されたし、最終形態はいまいちメリットがわからないと切り札のわりに信憑性がない。

最終形態はよくわからないけど何か凄そうで強そうという点でけっこう好きなんですけどね。
異常な骨格が本来の形になったものなのか、ピクルの筋肉が骨格を無理矢理変えてしまったのか、骨格主導か筋肉主導なのかもわからない。
その辺も説明も改めてやってくれた上でちゃんと活躍してくれると嬉しいな……
久し振りに休まず次回へ続く!