武蔵は武器持ちで危険度MAXだ。
そして、本部はカラーで「守護りたい…キミをッッ!!」と猛る!
おう、守護れよ。
煙幕持って乱入しろよ。
こういう時に何もしないからお前は本部なんだよ!
せめて解説くらいはしたまえ。
「宮本」
勇次郎は國虎を握ったまま、武蔵を名字で呼ぶ。
武蔵武蔵ばかり言われてきた武蔵を宮本と呼ぶ理由はどこにあるのか。
宮本と本部の関連性を指摘するのか。
今明らかになる本部家の歴史。
そういえば、何で本部に武蔵のことを聞こうとしたんだ?
あいつ、煽るだけで結局ロクな情報を渡さなかったし……
「図に乗るな」
あ、それだけでした。
意外と普通の台詞だった。
その直後に顔面に張り手だ!
顔が吹き飛んだかのような一撃であった。
完全に意を消したからか、あるいはあまりにも速かったからか、0.5秒先の未来が見える武蔵でも食らってしまう。
当然、これを食らった武蔵は真横に吹き飛ぶ。
勇次郎のパワーで張り手を出されたのだから、本部が無事で済むような金竜山の張り手とはまるで異なる破壊力だ。
そして、吹き飛ぶ武蔵に合わせて刀を握ったまま勇次郎も追いかける!
これは消力によって体重をなくしているのか、あるいは勇次郎がダッシュしているのか、はたまた一緒に吹っ飛ぶほどの勢いの一撃だったのか。
何にせよ範馬一族の身体能力は物理法則を超越するのだ!
さて、シュールな絵面の中、吹っ飛んだ2人はやがて着地する。
武蔵は白目で首をだらりと下げている。 何か既に気絶して戦闘不能っぽいが相変わらず刀を握ったままだ。
擬態をするのが武蔵だし油断ならない。
油断すれば一刀両断の可能性だってある。
刀を握っているとはいえこの状態で不利なのは勇次郎だ。
そもそも、有利にもならない。
本部の時のようにへし折っていただけると安心するのだが……
「噴ッッ」
だが、そこは地上最強。
握った刀を振って武蔵を回転させた!
回転芸は範馬一族のお家芸である。
勇次郎は刃牙や郭海皇を回転させ、ジャックもアッパーで数々の格闘家を回転させてきた。
その伝統の回転が炸裂した。
今回は危険物を握ったまま回転させるという追加点付きだ。
これも自慢の握力が為せる技か、あるいは手に粗塩でも塗り込んでいたりして。
勇次郎は武蔵を回した後に精妙なコントロールで再び直立させる。
ううむ、力任せなだけでなく技を効かせるのが勇次郎の器用なところだ。
おかげでやられる側も美しくやられており、見ている側を飽きさせない。
破壊が大得意な勇次郎だが、破壊される側のことも考えているのだ。
本部も見習っていただきたい。
格上食いだけではそのうち芸が尽きるぞ?
これを受けやっと武蔵の目に焦点が戻る。
おのれ、マジで気絶していたのかい!?
いや、これも演技なのか?
武蔵の真意は見えない。
そんな人に刀を持たせると危険なのでポキポキ折ってみてはいかがか。
久し振りに刀を持つとかその辺の台詞がまだ回収されていないし。
「なんと」
「打たれた記憶もないままに」「彼岸を彷徨っていた」
武蔵、マジで気絶していた!
しかも、彼岸って三途の河ですか。
張り手によって大分遠くまで吹っ飛んだようだ。
これは脳を揺らすような打撃に慣れていないから特にダメージが大きかったのだろうか。
斬られるのと殴られるのはダメージの質が違うのだ。
グローブ越しの打撃の効果は時としてピクルの打撃を上回るように!
「
「剣なき
「拳は剣にまで行き着く」
現代の格闘家たちの拳は剣と同等! 何かシリーズ終盤みたいなことを言い出す武蔵であった。
戦国時代でもそこそこ名を馳せるとは言ったのは、あれは素手で剣豪と同等の戦力を持つという意味でもあった。
その時に脳裏に浮かんだのは刃牙、渋川先生、烈であった。
ぶはぁ! 独歩いねえ!
まぁ、やられ方が無様であったのは事実だが……
武器を使った烈も拳と認定されていた。
たしかに烈は武器を使わなくなってからの輝きの方が大きかった。
武器を持ったが故に武器にこだわってしまい、武器以上に鍛錬した素手の存在が薄くなってしまったか。
それでもその素手での研鑽は武蔵の記憶に残っていることから、見事なものであったことがわかる。
あっさりと敗れた渋川先生だが武蔵の記憶に残っていた。
合気は剣と別種なれど同格の技術のようだ。
もうちょっと対武器の合気を見たかったのだが。
死刑囚編の時もそうだけど武器を相手にあまり活躍しない渋川先生であった。
それを言えば最大トーナメント以降、これといった活躍がないのですが。
「ただし―――」
「それは”武蔵の剣”ではないがな」
現代の格闘家たちの拳は剣と同等。
その上で自分の剣の域には達していないと武蔵は言う。
これは勇次郎に対しても当てはまるのだろう。
気絶したが相変わらず不敵であった。
それは強さへの自負心によるものか。
この不敵な台詞に無表情だった勇次郎は笑う。
自分にこうして挑む存在はもはや数えるほどになってしまった。
昔は本部でさえ挑んだというのに……
今の本部は煽って逃走が関の山だ。
と書いておいて花山も挑んでいたことを思い出した。
とはいえ、ワンパンKOだったので勇次郎を満足させるには至らなかったか。
「放すな強き人……」
「フンッ」
勇次郎は國虎を握っている。
そのまま、武蔵は國虎を引き下ろす!
刀を引けば手が斬れる!? このままでは真っ二つか!?
だが、國虎は微動だにしない。
その圧倒的な握力と腕力で対抗しているのだった。
勇次郎の両足は砂利に埋まっているし、武蔵は手加減なく相当な力をかけたようだ。
それでも國虎は動かなかった。
さすがの武蔵も筋力では勇次郎に敵わないのか?
これを見ているみっちゃんは冷や汗ダラダラだ。
勇次郎が殺されるかもしれない場面なので気が気ではないのだろう。
まぁ、その武蔵を蘇らせたのはアンタなんですがね。
そんなに刀をブンブン振る人だとは思わなかったのか?
でも、そのわりにいきなり殺し合いをさせる気で佐部を呼んでいたし……
「あっぱれ!!!」
「刃を―――――――握る……!」
「その根元を握るのは宮本武蔵!!!」
押しても勇次郎は斬れなかった。
ここでよくある言葉は押しても駄目なら引いてみろ。
平安時代の剣豪、ミヤモトマサシが古事記に残した言葉である。
(今回は元から引いているんだけど)
というわけで國虎を持ち上げて勇次郎を一本釣り!
上からの力はまだしも下からの力にはどうしようもなく勇次郎は浮き上がるのだった。
さすが人間を振り回す筋力を持つ男である。
刀の使い方を間違えている感もするが。
地に足が付いていない状況は危険だ。
その隙を狙い烈は斬られ渋川先生も合気を使えなかった。
このまま、引き斬れば重力を味方に付けて威力アップだし、今度こそ止められないかもしれない。
勇次郎、大人しく浮いてしまったが危険がいっぱいだ。
本部は宙に浮いた勇次郎を守護れるか?
次回へ続く。
意外にも互いに一歩も譲らずに戦おうとしている。
てっきり様子見程度で終わると思いきや……
勇次郎も武蔵も自分のスタイルを崩そうとしない。
そして、勇次郎は鬼の貌、武蔵は二刀流を隠しており、お互いに武器を秘めている状況だ。
お互いの武器が解禁されたら本部が守護れる隙間はなくなるな……
でも、鬼の貌はそもそも古武術由来のものだと胡散臭いことを言い出した看守もいたので油断ならない。
武蔵も古武術の使い手なら鬼の貌を秘めているかも?
鬼の貌+二刀流で鬼の貌だけのお前を上回る!
だが、親子喧嘩では鬼の貌も鬼哭拳もえらくあっさりと描かれた。
既に鬼の貌は最終形態の様相を呈していないのかもしれない。
なので、武蔵が鬼の貌を見せても何とかなったり?
鬼哭拳然りピクル最終形態然り最終兵器があっさりと描かれるようになったのは「範馬刃牙」の特徴でもあるので、「刃牙道」ではまた異なるかもしれませんが。
ともあれ、最近の勇次郎は危険度が比較的下がっているからまだしも(本部に対するのは除く)、武蔵は名誉のためなら遠慮なく人斬りをやってのける危険だ。
いや、まぁ、このご時世、人斬りをすればむしろ不名誉で金も遠ざかるのだが。
勇次郎なんて素手で強いからこそ、名誉も金も得ているんだぞ。
現代は素手で戦った方が名誉も金もついてくるぞい。
これが武蔵の剣から拳への転機になったりして……
ん? 本部が貧乏そうなのはだからなのか?
武器ばかり持つから素手好きの人たちに受けずに零落を……
出世から程遠い男、本部であった。
出世できぬから守護ることに生き甲斐を見出した。
こう書くと永年平社員だけど家族だけは守る人みたいで何かカッコイイかも……?
刃牙道(8): 少年チャンピオン・コミックス