バキ道感想 第119話「ナイス漢(ガイ)」



久し振りのバキ道だ。
2月は結局1回しか掲載しなかった。
まぁ、定期的に掲載していただければそれだけでも……
あとできればリプレイを減らしていただければ……


ジャックと宿禰は殴り合う。
超重量級同士の超弩級の激突である。
サイズと重量だけで見ればバキ史上最大級の殴り合いだ。

実は重量級同士がノーガードで殴り合うという展開は滅多にない。
今まで殴り合う時は大抵範馬刃牙だからどうしても小兵VS重量級になりがちであった。
重量級同士の殴り合いはありそうでなかった。
重量級は基本噛ませ犬だから対戦カード自体が成立しないというのも大きいのですが。

殴り合いながらも宿禰の身体には切り傷が増えていく。
ジャックは打撃を駆使しながら噛んでいるのだった。
しかも、噛み付き単体で攻めているわけではなく攻撃や防御の中に織り交ぜている。
最初はやたらと噛んでいたけど、真の嚙道とは打撃と噛み付きを組み合わせたまったく新しい格闘技のようだ。

噛み付きのプロ中のプロ、ピクルだって噛み付く時は噛み付き一本だ。
ジャックは噛み付きをコンビネーションに組み込んだのだ!
本人の言う通り、本能レベルで噛み付きを組み込んで初めて到達できる領域であろう。

「パンチや蹴りに無理なく溶け込んでいる」
「”完成”された体術」


この噛み付きを混ぜた攻防には宿禰も太鼓判を押す。
無理に噛み付きにこだわるよりも自然に組み込む方が高評価なのは当たり前だ。
自然に組み込んだ結果、負わせる傷は切り傷程度になっているが、ジャックは強引に噛んで歯を抜き取られた過去を持つ。
なので、ダメージを与えるよりも攻守を確実に強化する範囲で噛み付く程度がちょうどいいのかも。

僧帽筋を噛み切って投げを潰したことといい、何か常に無茶をしているジャックらしからぬ知的な一面だ。
いや、登場初期のジャックは静かさの中に狂気を感じさせるキャラだったから原点回帰か?
何かどこからか、アホの子になってしまったんですよね、ジャック。
多分、2回目の骨延長手術をした辺りからかな……

ジャックは攻撃だけでなく防御にも噛み付きを混ぜているらしい。
ずっとノーガードだったジャックが防御しているのは意外だ。
いや、シコルスキーの一本指パンチやピクルタックルを防いだ時もあったしジャックも守る時は守るか。
逆に捉えるのならばジャックが守りを選ぶほどのパワーを備えるのが宿禰だ。
何だかんだでフィジカルトップクラスのジャックと真っ向から渡り合っているのは驚愕である。

「”ナイスガイ“だ ジャック・範馬」

宿禰は真っ向から渡り合っているが全身を噛まれて大量出血で白目で冷や汗を流している。
ダメージは甚大だ。長くは持たないだろう。
対してジャックは鼻血一滴さえ流していない。
形勢は間違いなく宿禰の方が不利である。

だが、その上でジャックをナイスガイと認めた。
対戦相手を嘗めまくっていた宿禰が初めて心から相手を認めた瞬間であった。
外人のジャックにとってもナイスガイは最上級の評価……かも。

「だが―――――」
勝利かちは」
「譲れん!!!」


その上で勝ちを渇望する宿禰だった。
ピンチになって地の部分が露わになっている。
何かこういうところをもっと早く見せてくれたらもうちょっと好感度が高かったんですけどね。
いつも余裕ぶってどうにも感情移入し難かった。

宿禰はジャックに突っ込む。
宿禰は出血で常にダメージが蓄積しているから攻めて活路を開かねばならず、攻めるのも道理だ。
一方でジャックは腰を大きく落として待ち構えている。
負ったダメージの差が立ち回りに影響を与えているのだった。
ここで待つ辺り、新生ジャックの狡猾さ、もとい頭脳が窺える。
刃牙の上腕動脈を噛み切った時は普通に攻めまくってやり返されていたよな、あんた。

ジャックは突っ込んでくる宿禰の急所を見切る。
血管が丸見えである。
そして、宿禰の突進を受け止めて首元の頸動脈を噛んだ!
頸動脈は急所の中の急所であり、かつて勇次郎に噛み切られた部位でもある。
20年の時を経て勇次郎の教え通りに頸動脈に噛み付いたのだった。
まぁ、勇次郎の教えは頸動脈一本に絞るのが得策なので、そこ以外を狙いまくったジャックは赤点もいいところなんだけど……

しかし、それならそれで僧帽筋を噛んだ時に頸動脈を狙えば良かったのに。
僧帽筋は噛めても頸動脈は噛めないってことはなかろうに。
人目を気にしていたから噛み付き一発で仕留めるのはNGだったのか?
急所狙いの一撃はジャックとしても奥の手だから、宿禰はその領域を引っ張り出したと言えるか。

宿禰の首元から夥しい量の血が出てくる。
頸動脈は完璧に噛み切れたらしい。
だが、宿禰もただではやられない。
ジャックの臀部、ケツを超握力で掴み跳ねる。
合計450kgの超重量級のジャンプである。

って、ケツかよ!
肋骨じゃダメだったのか?
ケツの方が握りやすいのか?
本部、解説してくれ!

「うぉっしょいッッ!!!」

そして、ジャックは頭から地面に投げつけた!
バーベルを振り回せる驚異の腕力を持って人体をブン投げた。
オリバを相手に地面なら死んでいたと言わしめた殺人投げである。
投げに注力するために握りやすさを求めて肋骨ではなくケツを掴んだ……のか?

殺人投げをモロに受けたジャックは頭が地面にめり込んでいた。
絵面だけ見ればギャグだが下手すれば首が折れかねない深刻なダメージである。
だが、耐えれば頸動脈を噛み切られた宿禰は敗北確定である。
お互いの必殺を出したとはいえ残るダメージから優劣は変わらない。
だからこそ、両者共に未だに正念場である。

ジャックVS宿禰はどちらが勝つのか、まったくわからない。
ジャックが勝つ気もするし宿禰が勝つ気もする。
休載が多いけどその代わりに攻防の密度は高い。
板垣先生、もしかして後先考えずに戦わせたから悩みながら書いていて、結果、休載が増えているのかも。
とりあえず、嚙道は殴り合いながら噛み付くって方向にまとまったみたいだけど。

久し振りに真っ当に熱いバトルなだけに本部さん、もっと解説してくれませんかね。
休載と本部の解説がないことだけが不満ですよ。
観客席に再登場した時はわりと真面目に嬉しかったんだがなぁ……
とりあえず、僧帽筋が噛み切られたのに投げることができた件について解説を願いたい。
次回へ続く。