バキ道感想 第125話「どんだけ速ぇえ?」



蹴速、勇次郎に蹴りを所望される。
何かいきなり詰んだ感がある。
同胞?の宿禰は勇次郎に絡まれた結果、一気にツキがなくなったぞ。
どうする、蹴速。刃牙さんとスッくんはどこに消えた?


勇次郎に挑まれた蹴速はとりあえず誤魔化す。
幸せと書く幸子さんに幸せと訊かないように、賢いと書く賢さんに賢いとは訊かないように。
だから、蹴速だからと蹴りが速いとは限らない。

と言いながら蹴る!
正座からの蹴りである。
格闘技ではまずありえないフォームだが、蹴速は息をするように放った。
蹴り自慢なだけありあらゆる状況を蹴りだけで対応できるように鍛錬を重ねてきたのだろうか。
不意打ちをするもされるも想定済みの実戦派が蹴速なのだ!

「スゴい」「つもりだったのに」

と、褒めたが当然勇次郎には当たらない。
これで勇次郎が蹴速の蹴りを喰らったらまるで鬼龍さんですよ。
元ラスボスとして新参者の不意打ちを食らうわけにはいかないし、動物園のゴリラのオモチャにされるわけにもいかないのだ。

ここで蹴速は勇次郎の蹴りを所望する。
勇次郎の蹴りはジャブよりも速いと恐れられている。
しかも、作中で2回も同じ表現で驚かれた。
1回目は踵落としを見た石丸トレーナー、2回目は廻し蹴りを見たJr.が発言している。

この蹴りを居合いの黒川さんは動きが完全に消えている、居合いの理想形と語っている。
ジャブよりも速いという形容は速度に限った話ではなく、予備動作がジャブレベルであるとも言える。
全てが超一流の勇次郎だからこその高みである。

道場へ移り蹴速は勇次郎を挑発する。
けっこう命知らずというか慇懃というか。
古代相撲の定型なのだろうか。
いや、勇次郎相手に敬意を表しようが喧嘩を売ろうがどっちでも結果は変わらないけど。
その点、怒らせた上で生き残り何だかんだで認められている本部はある意味で格が違う。

勇次郎はハンドポケットで歩み寄る。
そして、蹴る……かと思いきや、かつて烈や龍書文が用いた空気砲で目潰しする。
さすが範馬勇次郎。こうした小技も身に付けている。
で、生まれた隙にゆっくりとした動作の金的を寸止めする。
勇次郎が本気ならもう金玉キラキラ金曜日、勝負ありである。

「仮に300キロでも――」「見えちまえば「武」的には“遅い”」
「見えぬなら――」
「カタツムリの歩とて――」「「武」的には“速い”」


見える神速よりも見えない鈍足。
武の本質とも言えよう。
渋川先生も同じような意味として「敵意殺意を持つ技ならいかに速かろうがものの数ではない」と語っている。
また、郭海皇も攻めの消力はとんでもなく遅くとも、打ち込むタイミングなどの速さ以外が完璧なのか、勇次郎に当てているし、全力でかわさせてもいる。
速さとは戦闘において所詮一要素に過ぎないのだ。

昨今の必殺技は真マッハ突きやゴキブリダッシュのように速さに注力されることが多い。
しかし、本来は格下のはずの力士たちにも決め手にならなかった。
速さだけでは勝てない時代が来ているのだ。
だからなのか、ジャックは打撃と噛み付きの両立のように密度を高める方向にシフトしたのかも。
……そういえばジャック兄さんもどうなったんですかね。

「確かに…」「「武」は陸上競技ではない」

力任せが主義の勇次郎らしからぬ、それでいて高度な技術と豊富な経験を持つ勇次郎らしい解答であった。
でも、煙に巻かれたようで蹴速としてはどこか呆れていた。
純然たる速さを見れるのかと思っていたことだからガッカリする気持ちはわからなくもないけど命知らずだな。
初代蹴速も初代宿禰に挑んだ結果、死んでいるし早死にの血筋なのか?

ボッ

「え……!? 掠った…?? 触れた…?」


なんて思っていたら勇次郎はいきなり蹴った。
蹴速は大量の冷や汗を流しながら?を連打して驚愕する。
認識できないほどの蹴りだった。
これが伝統のジャブより速い蹴りである。
相撲的には突っ張りより速いか?

「速ぇえ方がやっぱカッコイイわナ」

そして、蹴速、大量の鼻血を出す。
プッシャアと水道のように勢いよく出しやがった。
何かキャラとして死ぬレベルの面白い鼻血である。
いや、新キャラだから面白いところよりカッコイイところを見せるのが先では……?

蹴速があっ一発で折れたの刑を食らった。
勇次郎は蹴速に技の差と力の差を双方見せた。
大丈夫っスかね、蹴速さん。
今更蹴速が出た時は正直面白いと思ったけど後に続かないようでは意味がない。
いきなりどん底に行ってしまった株価をどうやって上げるのか、気になるところである。
次回へ続く。
次週は休載! 漫画版ゆうえんちで栄養補給しましょうねー。