刃牙らへん感想 第6話「どっちがイケる」



昂昇VS花田勃発! 令和の奇跡だ!!
いや、マジで戦うんですか?
本部どころか加藤や末堂でさえプレイアブルになったゲーム、「グラップラー刃牙 アルティメットチャンピオンシップ」でも花田はいなかったぞ!!
なお、刃牙UFCはサ終しました。南無。

昂昇と花田が向かい合う。
それも組み手ではなく実戦形式で戦う!
令和とは思えない組み合わせだが勝敗が読めない注目のカードでもある。
注目してしまっていいのか、これ?

実戦形式なので始まりの合図さえなく戦いは始まる。
まずは昂昇が花田の襟を掴む。
武術家の襟を捕る……その意味をわからぬとは……

この状態では組み技や極め技を持つ本部流、花田の方が有利であろう。
だが、先に仕掛けたのは昂昇であった。
襟を掴んでからの膝による金的だ。
意識を上へ向けてからの下というシンプルにしてディープな不意打ちである。

だが、花田には通じない。花田なのに通じない。
手の平で膝を押さえて金的を防いだ。
かつて花田は加藤に金玉を一つ潰されている。
だから、もう一つの金玉を守護るために金的への警戒心が強まっているのかも。

だが、先の先を読み合うのが一流の戦い。
すかさず昂昇は顔面狙いの左ストレートを放つ。
襟を捕ったことから始めると上下上のコンビネーションで的を絞らせない。
打撃のエキスパートだけありワンパターンな攻めにならないようにしている。



花田はこの正拳をかわすと同時に腕を捕り肩の逆方向へと極めていく。
この技はかつて本部が勇次郎と烈に放った極め技だ!
一見すればシンプルだが勇次郎に鬼の貌を出させるほどには追い込んだ(やや誇張)侮れない技だ。
ただ掴んで極めるだけならまだしも、カウンターの形で狙ったのは見事である。
さすが本部に「わしの持つ技術わざで花田にできぬものはない」と言わしめた男である。

師匠譲りの技を見せるとはなかなかに熱い展開である。
熱い、はず……
それをやっているのが花田だからどうしても眼鏡に色が付いてしまう。
本部さんも儂の技を使うとは成長したのうくらいは言ってくれ。
アンタ、今回はロクに解説していないぞ。それでいいのか、解説王。



だが、昂昇も只者ではない。
床に手を付き身体を支え、そこからの蹴りでこの技を打ち破った。
この破り方は烈と同じだ!!
さすが烈海王に勝てると豪語した男だけのことはあり、烈と同じ防御法を用いることができるらしい。

お互いに最高峰の実力者、本部と烈に負けない技術を引き出した。
二人は確実に成長している。
強い…ッッ。昂昇の強さは大体当然として花田純一とはこんな水準レベルだったのか!!?

技を破られて蹴りを食らうと軽視できないダメージをもらった花田だがその表情には余裕がある。
花田はプロレスラーなこともあり並みの格闘家の攻撃では怯まないタフネスを持っている。
この打たれ強さが今発揮されているらしい。
まぁ、斗羽にはボコられたのですが……

「実戦は実戦――」
「けれどアンタの「武」じゃないナ」
「そんなんじゃジャックはムリだろう」


花田はやられながらも上から目線だ。
こういう強気な台詞は一本取ってから言ってもらいたいところだが、まぁ、そこも師匠譲りということで。
実際に同じように烈に技を破られた本部はエラそうなことを言っていた。
分不相応にエラそうなことを言うのが本部流なのだ!
でも、今の本部は強くなってしまったからそれなりに強い言葉を言う資格があるんですよね……

そんなことを言う花田に昂昇は不意打ちの一撃を放つ。
花田はかわしたものの頬を切り裂かれ出血する。
斬撃空手の解禁であった。
花田のさっきの台詞はここまでの駆け引きで斬撃空手は使っていなかったことを指摘したわけであった。

「そう これ」「これが鎬 昂昇」
「アンタの「武」だ」


出血した上で花田は笑う。
まるで顔を切り裂かれてなお笑った範海王のような心強さである。
すまん、ダメな例え方だった。
まぁ、花田の実力って範海王くらいの印象があるのですけどね……

本気となった昂昇に答えるように花田はジャケットを脱ぎ捨てる。
身をかがめるだけで脱ぎ捨てるというオシャレかつ器用な脱ぎ方だった。
座ったままジャンプといい小技もしっかり身に付けている。

昂昇は斬撃空手を解禁し、花田は迎え撃つ気満々だ。
ここからが本番である。
その初手として花田が選んだのはジャケットを投げつけることだった。
身軽になるために脱いだのではなく視界を塞ぐための武器にするため脱いだのだ。
本部流らしい卑劣さである。

花田は斗羽に襲われた時も自転車を投げつけていた。
本部も柳には刀を、武蔵には目潰しを投げつけている。
手元にある物を投げつけるのは本部流にとってジャブのような所作なのだろう。
投擲はリスクを冒さずアドバンテージを取れる可能性のある選択肢だ。
実戦派の本部流なら使わない理由の方がない。

一方、昂昇は手刀でジャケットを真っ二つにする。
宙に浮かぶ布を切り裂くというさりげない神技である。
もはや異次元の切れ味を誇るのが今の斬撃空手だ。
昂昇もまた凄まじい成長を遂げていたのであった。

花田は斬撃空手を相手に一体どうするのか。
本部流らしく武器でも使うか?
道場には武器が飾られているし選り取り見取りだ。
煙玉くらいは使いそうな気はする。
だって本部流だし……

本部流は様々な武器術に対応しており、その総合点で戦うことを旨としている。
本部自身、一つ一つの技術の練度は大したことはないと認めている。
では、花田の本部流はどうなのだろうか。
素手に限定した本部流の可能性を見せるのか?
師匠同様に合計300点の武器術を見せるのか?
後者でもあまり驚かない。だって本部流だし。

今のところ、昂昇がやや優勢だが先行きはまったくわからない。
花田が急にやらかす可能性は全然ある。
現在進行形でやらかしているわけだし。
ちょっと前までの花田ならきょ……じん……が精一杯でしたよ。
ちょっと前は「バキ」まで遡るのですが。

今回の面白いところは花田が本部と同じ行動をけっこうしていることだ。
同じ極め技を使ったり、手元にある物を投げつけたりだ。
本部と花田はいまいち繋がりが感じられなかったけど(急に強くなったことを含めて)今は繋がりを感じられる。
しばらく本部の下を離れていたみたいだけど、離れたが故に本部流の基礎に立ち返り真価を理解するに至ったのだろうか。

それだけに花田が強くなった理由、場数についてもちょっと説明願いたい。
いや、本当に何があったんでしょうね。
異世界転生、あるいはパーティを追放されたかのような超強化ですよ。
風貌がまるで別人、というか梶原に似ているのでそこにヒントがあったりするか?
花田と梶原の主人公のライバルだったけど零落したコンビがフュージョンしたとか……

今までの花田の弱点は精神面の甘さだろう。
何でもありで軍人のガイア(ノムラ)でさえ学ぶのが本部流なのに花田はどうも詰めが甘かった。
技を極めたと思ったら金的を喰らうし、本部流の本領であるはずの路上での戦いで負けている。
本部には「計算力と殺意には想像を絶するものがある」と言われていたのにな!

しかし、今の花田はそうした精神面の未熟さから脱却したように思える。
花山のド迫力パンチに怖じずカウンターしたり、その後に慢心せずに逃げ出したり。
昂昇の奇襲をものともしないのはこうした精神面の成長が大きそうだ。
克巳も精神面の成長によって大いなる成長を果たしたわけだし、謎の経験によって花田もその領域に辿り着いたのか。
ありあまる才能に花田純一が追い付いた、のかなぁ……
やっぱ説明が欲しいですね。

それにしてもちょっと嬉しいのはゆうえんちの花田のエピソードを回収してくれたことだ。
ゆうえんちでは花田が鍛えているという描写があった。
見た時は何を言っているんだと思ったものだけど、あれがきっかけでこの強化に繋がっているとしたらなかなか趣深い。
夢枕獏先生の無茶振りに板垣先生が答えた形になって熱い。
ゆうえんちではやたらワクワクさせる設定が頻発したのでそこを輸入してくれると嬉しいですね。
次回へ続く。
一応、次週は休載ではないけど前は休載になったからあまり信じられん!