バキ道感想 相撲編まとめ





長きに渡った相撲編が終了おわった気がする。
まぁ、正直な感想を言うとバキシリーズで一番よくわからない展開だった。
話の流れがよくわからないところが多い。
というわけで軽くまとめつつ振り返ろう。
バキ感想のリンクまとめにもなってます。

・宿禰登場編
第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話第10話第11話第12話第13話第14話第15話第16話第17話

未知かつ太古の強者、野見宿禰が現代に蘇る!
生身でダイヤモンドを生み出すという異常な握力と共にデビューだ。
今までの強者たちが見せてきたパフォーマンス、死刑に耐える、ゆっくりパンチでクレーターを作る、恐竜を補食すると比べるとさすがに無理やろ、その設定はと言わざるをえない。

その握力で握るだけで筋肉越しに骨を掴めるどころか、肉が爆ぜる。
それもあってか、終始持て余した感がある。
最終的には小指を食われて使えなくなったし。

ともあれ、驚愕の設定と共にデビューした宿禰は強い。
バキ世界屈指の実力者、オリバ相手を圧倒だ!
この時の宿禰は単純なフィジカルだけでなく、突進するオリバを音もなく受け止めるという技術も見せた。
まぁ、この技術が後に活かされることはないんですけどね……


・大相撲因縁編
第18話第19話第20話第21話第22話第23話第24話第25話

相撲の起源、古代相撲。
だが、隆盛を極める現代の大相撲はその起源へのリスペクトがない。
古代相撲が大相撲に制裁を下す!

とりあえず、宿禰という未知の強者が出てきて何をするかと思えば大相撲に喧嘩を売るのは率直に言ってよくわからない。
大相撲なんて本部に勝つのが精一杯。猪狩に負けてるじゃないですか。
わざわざ喧嘩を売るほどの相手なのか?
いや、あの本部に勝ってるから再評価の流れは必然か?
刃牙道で起きた本部ショックの余波と言えるのかも……

ともあれ、その動機自体は良しとしても問題は宿禰だ。
大相撲に叛意を持つのは金竜山と古代相撲の小坊主なのだが、宿禰本人がこの件をどう捉えているのか、一言もコメントしていない。
加えるのなら後に大相撲と戦うことになる地下闘技場戦士たちもノーコメント。
外野だけが盛り上がっていて当事者の格闘家たちの心情がわからない。
後述するけれどそもそも金竜山は現代の大相撲に叛意を持っていることさえちょっと怪しいんですよね。

そんなわけで目的(古代相撲を蔑ろにする大相撲に鉄槌を下す)と目標(大相撲力士を倒す)が提示されたものの何とも乗り切れないのであった。
ダイヤモンドを作る男が目指す先がそれでええんか……?


・大相撲前哨編
第26話第27話第28話第29話第30話第31話第32話第33話第34話第35話第36話第37話第38話第39話第40話第41話第42話第43話第44話第45話第46話

大相撲との激突へ向けて地下闘技場戦士と大相撲力士たちが動き出す!
まずは刃牙と宿禰が手合わせをするぞ。
この時は胸を貸すという建前でそれなりにやり合っていたけど、後の描写を見るに刃牙は本当に胸を貸していたことが判明する。
本気で潰しに行けば9秒ですよ。二人の実力差はそれほどまでに大きかった。

地下闘技場戦士は刃牙・独歩・渋川先生・花山・克巳の言ってしまえばいつものメンツだ。
烈に代わって克巳が加入した形ですね。
終わってみるといつも過ぎて新鮮味がないことに加え、実力が保証されすぎて負けるビジョンがまったく思い浮かばないと盛り上がりに欠けるメンツだった。

いっそのこと昂昇・寂海王・アライJr.・本部・船井零みたいな変わり種を揃えて欲しかった心持ちだ。
特に本部。お前は刃牙道で秘められた実力を披露したんだからもうちょっと弄って欲しかった。
あ、船井零は心瞑活殺流の使い手で独歩と名勝負を演じたあの人です。

そんな中で刺激的なのは烈の腕を移植するという人道もクソも何もない運命を強いられた克巳だ。
片腕という個性オリジナルをなかったことにしてあまりある衝撃である。
それだけにもっと活躍して欲しかった。

対する大相撲力士たちもバキ世界における雑魚の象徴、統合格闘家を圧倒して実力を示す。
バキ世界の統合格闘家、ホント弱いんですよね。
なので大相撲力士たちの実力をあまり示せていなかったように思える。

統合格闘家で印象に残ったのはとにかく岩波混沌カオスだ。
何が印象に残るかって名前が印象に残る。
岩波混沌カオスですよ。岩波混沌カオス
大相撲力士たちの名前を覚えていない人は多いけど岩波混沌カオスを忘れている人はいないと思う。
船井零VS岩波混沌カオスなんてやってもらえれば死ぬほど盛り上がりそう。


・大相撲激突編-渋川VS巨鯨-
第47話第48話第49話第50話第51話第52話第53話第54話第55話第56話第57話第58話第59話

大相撲と地下闘技場戦士の対決が始まるぞ!
宿禰は地下闘技場側だ!!
あんた、相撲やんけ!!? 何でこっちにいるん!?
いや、原点を蔑ろにする大相撲に鉄槌を下すという目的はあるにはあるのだが……

先鋒戦は渋川先生VS巨漢力士巨鯨の最小VS最大対決だ。
渋川先生にとってこの手の相手は大得意……のはずが苦戦しまくる。
怪力を誇る数々の実力者、ジャックにオリバに武蔵をも手玉に取った合気を巨鯨は力のみで破る!
いくら何でもやりすぎな気はするが、それだけに先が読めなかった一戦とも言えよう。
いや、今までの描写を知る身としては困惑の方が大きかったですが。

ともあれ、力士+巨漢というどこに出しても恥ずかしくないやられ役の巨鯨であったが、まさかの大健闘を果たし大相撲の強さを知らしめるのだった。
ピクルという巨漢かつ強者が現れたことで巨漢社会にも強者が生まれるようになったのだろうか。
でも、240cmまで巨大化したジャックは見事に噛ませ犬として本部にやられてたな……

巨鯨の強さを見るにこれならばあの本部が力士に負けたのは納得……なのか……?
今までの描写との乖離が激しすぎてどうしても力士が強いというよりも地下闘技場戦士が弱くなったと思っちゃうんですけどね。
悲しいが急なパワーバランスの変化に読者がついて行けなかったのだ。
いや、そもそも表の大相撲が地下闘技場戦士並みに強いのならいろいろとおかしいというのもあるのだけど。
アクビしている場合じゃねえ!


・大相撲激突編-独歩VS猛剣-
第60話第61話第62話第63話第64話第65話第66話第67話

バキ世界における最古の実力者、独歩の出番だ!
実力者であることは疑いようもないがうっかり負けることが多いのも独歩である。
今回もうっかりと苦戦してしまう。
後に蹴速はノーダメージで完封して圧勝したことを考えると、この試合では相当に遊んだのか、猛剣がよほど強かったのか、蹴速がビックリするくらい弱かったのか……

猛剣は技術自慢……なのだが何か普通にフィジカルが強かったですね。
技術VS技術の渋い試合というよりも独歩の破壊力VS猛剣のフィジカルという構図になった。
そして、巨鯨もそうだが相撲以外の駆け引きが混ざると力士たちは一気に弱味を見せることになる。
この弱点はどの力士も背負っており、得意分野の範疇での戦いならともかくそこからはみ出るとどうにもいまいちになってしまうのだった。


・大相撲激突編-花山VS鯱鉾-
第68話第69話第70話第71話第72話第73話第74話

花山は人気キャラだしスペック戦はバキシリーズ史上に残る名勝負だが、それ以降まともな見せ場にあまり恵まれていない。
武蔵戦は正直格好悪いところ多かったし……
そんな花山が久し振りにまともな試合だ!

渋川先生と独歩は弱体化したとしか思えないくらい手こずったが、花山は順当に圧倒、勝利する。
まぁ、地下闘技場戦士と力士の力関係ってこんなものですよね。
最強クラスになってしまった本部が金竜山に負けたことは例外として除いても、これまでの描写を考えるとこんな試合展開になるのが自然だ。

その上で鯱鉾は堂々と挑んだので悪い印象はあまりない。
名前はよく覚えていないけど何だかんだその辺の印象は悪くないのだ。
後述するけどそれが疑問の一つになってしまうのだけど……


・大相撲激突編-克巳VS鯱鉾-
第75話第76話第77話第78話第79話第80話第81話第82話

ピクル戦で男を大きく上げた克巳が久し振りに戦う。
それも烈の右腕を得て、だ!
大相撲激突編で一番期待のカードと言えよう。

渋川先生と独歩は弱体化した感があったが、花山は(得意分野が噛み合ったのもあるが)今までの描写に準拠した強さを見せた。
では、克巳はどうなるか。
ピクルにさえダメージを与えたマッハが何故か効きませんでした……
マッハ突きは外れなし。どのライバルにも大ダメージを与えている。……はずだったのだが。
大相撲が出てからのパワーバランスの急激な変化には困惑せざるをえない。
とはいえ、マッハ蹴りで一度は気絶させており、効かなかった時は肉厚な腹に打ち込んだ結果なので一応は納得できる……のか……?

代わりに烈の腕が克巳を中国武術に目覚めさせる!
克巳単体で勝てない強敵が鯱鉾なのだ!
……やっぱあんま納得できんな。
とはいえ、結局は空手に回帰したので烈頼りではなかったのは好印象だ。

この試合で地下闘技場戦士は唯一の黒星を付ける。
が、克巳の試合放棄という形なので負けた気がしない。
善戦はすれど勝利はできない大相撲であった。


・大相撲激突編-刃牙VS炎-
第83話第84話第85話第86話第87話第88話第89話第90話第91話第92話

地上最強の男、範馬勇次郎と互角に渡り合った男、範馬刃牙VS小結炎!
いや、無理でしょ、これ……
絶望的にもほどがあるマッチアップだ。

しかし、範馬刃牙、妙に手こずる。
意外な強さを見せる炎であった。
宿禰よりもよっぽど苦戦している。

とはいえ、本腰を入れた刃牙に炎はまったくついて行けなかった。
苦戦したように見せつつも、しっかりと実力差を見せて勝つ範馬刃牙であった。
最近の刃牙は強くなりすぎて対戦相手に困っている感がある。
奇しくも勇次郎と同じ悩みを抱えていますね。


・大相撲激突編-宿禰VS零鵬-
第93話第94話第95話第96話第97話第98話

古代相撲の継承者、宿禰と近代相撲の傑作、零鵬が戦うぞ!
納得できるかどうかはさておき、ここまで大相撲力士たちは健闘していた。
では、その頂点の零鵬はどうなるか。瞬殺されました。
……いいのか、それで。
見所は試合以上に宿禰の肌の色が変わったことでしたね。
ホント、何で変わったんでしょ。

こうして大相撲側は実質全敗で終わった。
まぁ、そうなるな。
しかし、原点を蔑ろにした大相撲に鉄槌という目的があったのだが、実際のところ、大相撲は零落するどころか地下闘技場戦士と渡り合うくらいの進化を遂げていた。
瞬殺された零鵬も相手が悪すぎただけで、稀代の才能の持ち主かつ純日本人横綱という点では賞賛に値する。
後に見苦しくリベンジした零鵬を除けば、力士たち全員が堂々と真っ向勝負しきっちり敗北を受け入れているから精神面でも文句なし。
金竜山が大相撲に不満を持つが故に始まった戦いだが、外野から見れば不満がまったく感じられなかった。

金竜山自体も大相撲力士たちの実力を評価する言動がいくつも見られた。
なので、大相撲に鉄槌を下すどころか、むしろ評価させるためにこの戦いを仕組んだ気がしてくる。
しかし、そこについて一切のコメントをしないどころか、物語から金竜山はフェードアウトしていく。
なので、長く続いたわりにはどうにも尻すぼみ感のある大相撲激突編だった。
せめて金竜山には責任を持ってオチを担って欲しかったのですが……


・宿禰VSオーガ編
第99話第100話第101話第102話第103話第104話第105話

勇次郎がホモだと発覚する。
連載30年を越えて明らかになる衝撃的事実! 何か困るんですけど!
まぁ、女も行けるから問題ない。問題ないか?

それはそれとして宿禰がひき殺された。
ダイヤモンドを作れる握力で掴めばどうなるかは試して欲しかったが……
勇次郎もピクルや武蔵の時と違ってそんなにやる気を出していない。
どうやらデブ専ではないらしい。

また、零鵬が見苦しく、本当に見苦しくリベンジを挑むのだが何の結果も残せなかった。
いや、何でリベンジを挑んだのかわからないけど同じく仕切り直した上で惨敗した蹴速という男がいる。
それを振り返ると零鵬のリベンジにも納得……?


・ジャックVS宿禰編
第106話第107話第108話第109話第110話第111話第112話第113話第114話第115話第116話第117話第118話第119話第120話第121話第122話

元ラスボスながら本部に負けるという大失態を犯したジャックがオリジナル格闘技嚙道を身に付け復活だ!
ボスキャラの宿禰に負けると思ったら大健闘どころか、宿禰に勝つほどの底力を見せつける。
宿禰としては敗れたものの唯一まともとも言える試合だった。
他の試合は瞬殺するかされるかだけで勝つにせよ負けるにせよ極端すぎる。
こういった拮抗した試合がもっとあれば人気も上がった……かも。

嚙道は噛み付きを組み込んだ唯一の格闘技!
……なんだけどわかるようなわからんような。
とりあえず、自動噛み付きカウンターとコンビネーションの中に噛み付きが混ざるのが特徴、かも。
今までのジャックは噛み付こうとするとそれ一辺倒になりがちだったし、噛み付き狙いのカウンターを喰らうこともあった。
なので、自然と噛み付きを狙えるようになったのは明確な進化だ。
……強力な攻め手に固執することなくバランス良く連携に混ぜるのは当たり前の気もするけど。

宿禰に勝ったジャックは全周囲に喧嘩を売る。
売るのだが、今のところ、一切回収されていない。
喧嘩を売られた格闘家たちの反応も渋くて相手にされていない感じが出ている。
一体ジャックは、嚙道はどうなるのだろうか。
このまま数年単位で無視されてもおかしくはない。事実、死刑囚は無視されている。


・蹴速登場編
第123話第124話第125話第126話第127話第128話第129話第130話

宿禰が敗れたのだから蹴速が現れる!!
今更蹴速?と思えるが仕方がない。
蹴速の流れなのだ。多分。

蹴速は仕切り直せば勝負なし!というバキ史上でもなかなかない主張の持ち主だった。
でも、負けても負けを認めない人はけっこう多い。
それが精鋭化したのが蹴速……なのか?
仕切り直せば負けは負けじゃないと断言するのはさすがに格好悪いけど。

そんなこんなでどうも蹴速は何かいまいち強そうな印象がない。
宿禰のダイヤモンドを作る握力は無理すぎて説得力がなかったが、殺生石を破壊する脚力は誰でもできそうで強そうに見えない。
宿禰と蹴速、どちらもハッタリの振れ幅が両極端だ。
ほどよいハッタリって大事ですね。


・独歩VS蹴速編
第131話第132話第133話第134話第135話第136話第137話第138話

太古の実力者独歩と蹴速が見える。
独歩はうっかり負けることが多い。新キャラ、蹴速にもうっかり負けてしまうのだろうか。
だが、独歩がうっかり勝ってしまった。それもうっかり完勝した。
蹴速は見苦しく仕切り直すのだが、ボロボロなので何もできずに負ける。

蹴速は本当に何もいいところなく負けてしまう。
何のために出てきたのかわからない。
間に挟まれた捕鯨砲のエピソードも何の意味があったのかもわからない。
蹴速とは何だったのか。

そんなわけで蹴速編は一番よくわからないエピソードだった。
でも、負けた後の蹴速は宿禰にアドバイスしたり、刃牙にちゃんこ鍋を振る舞ったり、存在意義そのものはわからないけど人間としてはけっこういい奴だ。
その辺はわりと好印象なんですよね。
逆に宿禰は刃牙にボロ負けしたのに上から目線だったりと最後まで印象がよくない。
蹴速はこれから先、驚き役や解説役としての活躍が期待できる、かも……


・オリバVS宿禰編
第139話第140話第141話第142話第143話第144話

オリバが宿禰にリベンジマッチだ!
一度は惨敗した相手にどうなるのか。
何故か圧倒してしまう。
終始宿禰にペースを握らせなかったとはいえ、これまた極端な結果だな……
相撲編は全体的にパワーバランスが可変しすぎてどれが定量なのかさっぱりわからん。

宿禰はオリバのペースで戦わせすぎ、結果として持久力のなさを露呈することになった。
相手を受け止める横綱相撲を取ろうとした結果だろうか。
だが、後手に徹しては対応しきれないほど格闘家たちは多彩かつ手強い。
なので10秒間の全力をぶつけて勝つ!という攻略法を実行しようとするのだが……


・刃牙VS宿禰編
第145話第146話第147話第148話

刃牙は9.01秒で惨たらしいまでの圧勝をする。
宿禰君、君、ダメ!
つまらないだけならまだしも弱い!!
いや、つまらん方が漫画的には大罪だ!
弱くとも面白かったサムワン海王、船井零、岩波混沌カオスを見習え!!

10秒だけなら最強の力士の強さを描く!というのがバキ道のテーマ的なものだったと思うが、ハチャメチャに弱いところを見せて終わってしまった。
いや、大相撲力士たちはそれなりに手強かったからいいのか?
でも、代表の零鵬が無惨だったし……それを倒した宿禰もいいところなしで終わったし……

結局、宿禰は大海の広さを知って終わった。
最初はピクルや武蔵に並ぶ大ボスかと思いきや全然であった。
10秒が強い=10秒以降はあまり強くない+ダイヤモンドを作れる握力の二つの設定が弄りづらかった印象はある。
持ち味を活かして10秒で瞬殺すれば盛り上がらないし、ダイヤモンド握力はその通りに描けば強すぎて対抗手段がないし……


相撲編が終わった気がするのでこの先はどうなるのだろうか。
いい加減復活した死刑囚たちを拾ってみるか?
それともゆうえんちとエピソードの合流を図ってみるか?
いっそのこと烈を復活させてもいいぞ。
烈、戦っても面白いし観客として解説や驚愕をさせても面白いしで、どういう食べ方をしても面白くなる素晴らしいキャラだったんですよね。
バキ道の低迷は烈の不在が大きい、かも……